1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。姉妹サイト〈1話5分で読める聖書-アートバイブル

テーバイ攻めの7将 前編[アイスキュロス作]

【コロノスのオイディプス】オイディプスが自分の息子二人にかけた呪いが、とうとう成就されるのか⁉︎
弟エテオクレス王のテーバイ市7つの城門を取り囲んだ、兄ポリュネイケスのアルゴス勢の7将。今まさに戦いがはじまろうとしています。
戦いを恐れるテーバイの乙女たち。それを叱るテーバイ王エテオクレス。

ギリシャ神話戦士

オイディプスの呪い、戦い前のテーバイ城内の広場

(テーバイ城外には敵のアルゴス勢。
オイディプスの子・兄ポリュネイケスもその一将。テーバイ王・弟エテオクレスと市民登場)

エテオクレス
ゼウスよ、御名にふさわしく、カドモス人の町(テーバイ)を禍いより救いたまえ。みなの者、兜に身を固め、急ぎ7つの城門に向かえ。俺は、敵軍の様子を探りに物見の者を出しておいた。
(使者登場)
使者
エテオクレス王、アルゴス軍の7人の将が、わがテーバイを蹂躙するか、この地で倒れるか、覚悟を持ってやってきます。彼らの心は、戦いを挑む獅子のよう。また、7人の将はわがテーバイの7つの城門のどれを攻めるか決めています。それゆえ、わが軍の将も、ただちにそれぞれの門に向かわせるべきです。
エテオクレス
おお、わが父(オイディプス)、復讐の呪いよ。

戦いを恐れるテーバイの乙女たち

(エテオクレスと市民退場。コロス・テーバイの乙女の合唱隊登場)

コロス
軍神アレス様、この地の守りの神様方、おいでくださいませ。
7人の雄々しい敵の将が、7つの門に迫っています。
われらの町の運命は、どうなることかしら?
天はこの結末をどうおつけなさるおつもりか?
おお、われらが神々、人々の捧げものに心し、お救いくださいませ。

(エテオクレス登場)

エテオクレス
女ども、泣き叫ぶのはやめろ。町の人々に禍いなる臆病風を吹き込むのはやめろ。逆境にあっても喜ばしい栄の中にあっても、女どもと一緒に住まうのは真っ平だ。家の外のことは男の仕事。女は口出ししてはならぬ。
コロス
おお、オイディプスのお子、
耳を打つ戦車の響きが、響きが恐ろしいのです。
エテオクレス
それがどうした。騒いだとて、救いの道が見つかるとでも言うのか。
コロス
いえ、いえ、破滅の轟きが、お城の門に迫った時、神様方を信じ、その御像へかけ寄りました。
エテオクレス
寄せ来る敵を城壁が防いでくれるよう、これがお前たちの祈ることだ。
コロス
神々がお見捨てなさらないように!
この町を敵が踏みにじり、恐ろしい火を放つのをこの目にしませぬように。
エテオクレス
神の名を呼んで、愚かな真似はやめにせい。
コロス
神の力は、禍いからも救ってくださいます。
城壁が敵の大軍を防いでくれるのは神のおかげ。私たちは、どうして王様のお叱りを受けなければならないのですか?
エテオクレス
町の者どもに臆病風を吹き込まぬようにだ。静かにして、うろたえ恐れるでないと申しておるのだ。
俺は行って、7つの門の一つを守ろう。

(エテオクレス退場)

コロス
とはいえ、胸は恐れに波立ち、心に迫るこの心配。
悲しいことよ、清らかな乙女には。
つぼみの花を摘まれて、家を後に忌まわしい旅路に着くとは!
いえいえ、死んだ方がましというもの。
町が敵の手に渡れば、襲うは不幸の数々。
勝ちを得た敵にかしずき、夜毎の伽(とぎ - 寝床にはべる)をするほかありません。
コロスの長
ほれ、あそこにオイディプスのお子エテオクレス王と使者がおいでなさいます。

(エテオクレスと使者、左右から登場)

第一プロイティデス門の将はテュデウス

使者
エテオクレス王、敵の7つの門の将を申し上げます。
まずは、プロイティデス門にはテュデウス。占いが凶と出たため、予言者アムピアラオスがイスメノス川を渡ることを禁じています。それゆえ、テュデウスは合戦を望んで荒れ狂い、叫び、川の向こう岸で予言者アムピアラオスを臆病者と罵っています。
その楯には、星の輝く大空、その真ん中に夜の目なる星の中でも一番貴い月が満ちた面が煌々と輝いている。物々しいほどの豪華さ!このテュデウスには、誰を当てましょうか?
エテオクレス
はて、この愚かしさは運命の先触れ。死んだ男の目に夜の闇が降りれば、この持ち主にはうってつけのものとなるであろう。この驕慢の占いをわれとわが身に下したことになるであろう。
テュデウスには、アスタコスの尊い子メラニッポスをプロイティデス門につかわそう。テーバイでは古き尊い名門の生まれ、名誉を重んじ、思い上がった言葉を憎む男だ。勝負は、軍神が賽で決する。
コロス
神々よ、我らが将に武運を与え給え。
正しくも国のため、出陣致すのでございます。

第二エレクトライ門の将はカパネウス

使者
第二のエレクトライ門には、カパネウス。かなりの巨人で、その大言壮語は人間のものではありません。われらが城に向かって恐ろしい言葉を吐いております。この町を荒らして、目の前にゼウスの雷が落ちようが俺を止めることはできぬ、とまでほざいております。その楯には、松明の武器に「われはこの町を焼かん」と書いています。この者には誰を?
エテオクレス
カパネウスめ、神々をないがしろにし、脅し文句を吐いておる。ゼウスに向かって轟き渡る大言を送っておるのだ。ゼウスの雷が必ずや彼を打つであろうぞ。奴には、その減らず口など物の数ではない、燃えさかる意気の勇者ポリュポンテスがはや任ぜられておる。
コロス
町に向かって壮語する男は滅びよ!
雷よ、あの人を打ちつけておくれ。

第三ネイスタイ門の将はエテオクロス

使者
第三のネイスタイ門には、エテオクロス。城門には鼻息荒い馬を回らせています。その楯の印には、強者が敵の城壁にかけた梯子を登っていき「軍神とて俺を城門から投げ落とすことはできぬぞ!」と書いてあります。エテオクロスには誰を。
エテオクレス
エテオクロスには、スパルトイの一族、クレオンの子メガレウスだ。直ちにこの男を差し向けよう。狂い立つ馬のいななきに怯えて城門から退くこともない。
コロス
おお、われらが家ために戦う者よ!
栄あれ、敵には悲運を!

前のページへ 次のページへ

【ギリシャ悲劇関連記事】