1話5分で読めるギリシャ神話

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アキレウスの死とポセイドーンの怒り

ポセイドーンが息子キュクノスをアキレウスに殺されたときの恨みは、10年間近くも消えることはありませんでした。
また、トロイア戦争後、オデュッセウスが諸国を放浪していた期間も約10年間。海伸の怒りはオデュッセウスが息子一つ目巨人キュクロプスのポリュペモスの目を潰したからです。非はオデュッセウスの家来を食ってしまうポリュペモスにあったのですが、神にとって善悪は意味がありません。

アキレウスの死
ルーベンス〈アキレウスの死〉アキレウスの右足に矢が刺さっています。

ポセイドーン、子への愛情から怒る

オデュッセウスが故郷イタケヘなかなか帰れなかったのはポセイドーンの怒りからです。ポセイドーンは息子キュプロクスの目を潰されたことを最後まで憎みました。女神アテーナが何かにつけオデュッセウスに手助けするのもずっと毛嫌いしていました。

しかし、無類の子煩悩であったとも言えるポセイドーン。
話は前後しますが、トロイア戦争で息子キュクノスを殺されたポセイドーンは、アキレウスにずっと怒りを覚えていました。しかし、ゼウスさえ息子のサルペドンをアキレウスに殺されたからには、表立ってゼウスに文句は言えません。

ポセイドーン、アポローンをそそのかす。

へクトルがアキレウスに打たれた後、もはやアキレウスに立ち向かえる武将はトロイアにはいません。今も目の前で、アキレウスはトロイアの兵士たちをなぎ倒しています。ポセイドーンは歯ぎしりするくらい苛立っています。子のキュクノスが死んで、はや9年間が経っていたというのにです。

「ゼウスの子の中で、私にとって一番可愛いのはアポローンよ、君だ。
かつて、ラオメドーン王の時代、このトロイアの城壁を一緒に築いてくれたのも君だ。そのトロイアの城壁が、今崩れ落ちようとしている。悲しくはないかね。ヘクトルはこの城壁の周りを戦車につながれ、アキレウスに無残にも引きずられていた。あの、残虐な男は、今と問いあの城壁さえも壊そうとしている。

アキレウスが私の領域の海に来さえすれば、この三叉の鉾の威力を思い知らせてやることができるのだが。あいつと相まみえることは、許されていない。そこで、君のその見えない矢で不意をついてはくれないか、遠矢のアポローンよ」

アポローンの暗躍

もともとアポロンはトロイア側に加担していたので、叔父であるポセイドーンの言葉を承諾しました。
アポローンは雲に包まれトロイアの陣にやってくると、ヘクトルの弟、この戦争の原因を作ったパリスの姿を見つけました。パリスは勝つ気力も失せていたかのように、ギリシャの雑兵にただ矢を放っているだけでした。

アポローンは神の姿を表すと、パリスに話しかけました。
「どうして、そんな意味もない雑兵に矢を放っている。矢の無駄遣いもいいところだ。身内のためにも、矢の標的はアキレウスだ。あいつに殺された多くの兄弟の仇を今こそ打て」
そう言うアポローンの指先は、まっすぐスカイア門の前で戦っているアキレウスに向けられていました。

アキレウスの死

こうして、パリスの矢はアポローンの誘導の元、アキレウスの腱を射抜きました。
かつて、アキレウスが生まれた時、母テティスは我が子を不死身にしようと、子のかかとをつかんで冥府の川スチュクスに浸けました。悲しいかな、そのつかんでいたアキレウスの腱は川の水に浸ることはなかったのです。

失意のどん底にあったトロイア王プリアモスも、アキレウスの死を見た時は喜んだに違いありません。そして、ポセイドーンも胸をなでおろしたことでしょう。

映画『トロイ』のパリス役オーランド・ブルーム
映画『トロイ』のパリス(オーランド・ブルーム)

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