1話5分で読めるギリシャ神話

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母の悲哀 知っておきたいベスト3

母の悲哀 ベスト3

約200エピソードある〈1話5分で読めるギリシャ神話〉が教える【母の悲哀ベスト3】
誇り・戦争・運命に翻弄された3人の母親の泣ける神話を取り上げます。

誇りから言った言葉で、子供14人すべて殺されたニオベー

女神レートーとその子アポローンとアルテミスの祭日
テーバイ国王アンピーオーンの妃ニオベー。7人の息子と7人の娘が大変誇らしく、つい女神レートーの尊厳を汚してしまいました。
「私には7人の息子と7人の娘がいる。が、女神にはたったの2人の子供しかいないではないか」

憤慨した女神レートー
「私は、2人を誇りにしています。お前たちが母さんの尊厳を守ってくれないと...」
「母上、それ以上おっしゃいますな。話は処罰を送らせるだけですから」
と、アポローン。妹アルテミスと一緒に弓矢を持ち、街の塔に降り立つや矢を放ちます。
矢は、たちまちニオベーの息子7人が殺してしまいました。

このショックで、夫アンピーオーンは自殺。
「それでも、私には7人の娘がいる!」
と、息子の死体に集まったニオベーと娘たち7人。
その娘6人もすぐに射殺されてしまいました。とうとう、ニオベーは最後に残った末っ子の娘を抱きると叫びました。

ニオベー
P=C.ジョムベール〈アポローンとアルテミス、ニオべの子を殺す〉

「この一番下の娘だけは助けてください」

その願いもかなわず、最後の娘も矢で殺されてしまいました。子供14人と夫に死なれたニオベー。その場から動くこともできず、体内の血は流れることをやめ、石となってしまいました。石の目からは、今も涙が流れ続けています。

ニオベーの悲哀、誇りから女神の怒りをかう】詳細へ

処女神アルテミスの厳粛なる掟】詳細へ

トロイア王妃ヘカベー、いつも戦争の犠牲者は女性

「トロイアの王女ポリュクセナを生け贄として、私に捧げよ」
トロイア陥落後、ギリシャ軍は帰る途中トロイアの対岸トラキアの港で休憩していました。その時、突如現れたアキレウスの亡霊が叫びます。

このトロイア戦争で失ったヘカベーの子は、ヘクトール、パリス、デーイポボス。奴隷の身になって、ギリシャに連行される王妃ヘカベーの唯一の慰みは娘ポリュクセナであった。もう一人の娘カッサンドラーは、ギリシャ軍総大将アガメムノンの奴隷として連行されていた。

ポリュクセナが生贄となり、生きる望みを失ったヘカベー
「娘よ、おまえにしてあげることは、母の涙とひとつかみの異国の砂だけ。わたしは敵に殺させるために、息子や娘を生んだのか? そうだ、わたしにはまだトラキア王にあずけた最愛の末息子ポリュドロスがいる」

ヘカベーとポリュクセナ
M.ジョセフ・ブロンドル〈ヘカベーとポリュクセナ〉

そう思い力をふりおこしたヘカベーは、ポリュクセナの遺体を抱きかかえ海辺に行きます。
すると、なんということでしょうか。その最後の望みポリュドロスの遺体が、岸辺に打ち上げられていたのです。トロイア陥落の知らせが届くと、トラキア王はポリュドロスを剣で刺し殺し崖からつき落としたのです。

意を決したヘカベー、トラキア王ポリュメストルに会いに行く
「ポリュメストル殿、隠していた黄金を息子に渡してはもらえまいか」
「ヘカベー様、今回の黄金も前に預かっている持参金もみな、ご子息にお渡しいたします」
その時、王妃と侍女たちはトラキア王を押さえつけると、ヘカベーは両眼に指を突き刺し、目の玉をくりぬいてしまいました。

トラキア王の家臣たちはヘカベーたちを取り囲むと、石を投げつけました。ヘカベーはうなり声を上げながらも、飛んでくる石に噛み付こうとしました。その声はもはや人間の声ではなく、犬に変身していました。

トロイア王妃ヘカベーの運命

オイディプス王の妃イオカステーは、実の母親

「朝は四本足、昼は二本足、夕方には三本足の生き物は何か?」
この謎を解いたオイディプス王。テーバイ先王の妻イオカステーと結婚し、二男二女の子供がありました。しかし、今のテーバイには不作と疫病が蔓延しています。その原因を神託に求めると、「先王を殺した犯人が捕まっていないから」とわかりました。

「犯人を捕らえたら、街から追放する」と布告したオイディプス王。

預言者レイレシアースを呼んで真相を聞くと、それには答えず王の怒りを買ってしまいます。そして、最後に「王がその原因です」と預言者は立ち去りました。

イオカステー

不安になった王を慰める王妃イオカステー
「先王は自分の子に殺されると神託がありましたが、町外れの三叉路で王は殺されました」と神託があてにならないと慰めます。王は不安になりました。かつてその三叉路で、いざこざからそれらしい老人を殺していたからです。その時ただ一人生き残った従者は、オイディプスが王になった時、神託が成就した恐れから羊飼いとなって田舎に隠れました。

隣国コリントスの使者来る
コリントス王が死んだこと、オイディプスが王となることを伝えに来ました。コリントス王の子であると信じていたオイディプスは「両親を殺す」と神託があったことから、コリントスの母がまだ健在なので帰れないと告げます。使者はオイディプスはコリントス王の実の子ではない、自分がテーバイの羊飼いからくるぶしが貫かれた赤子をもらいうけたと述べました。

真相に気付いたイオカステーは、館に走り去りました!

そこへ、羊飼いが連れてこられると、コリントスの使者はそこにいる羊飼いから、王様をもらいうけましたと証言。羊飼いは、「いえ、忘れてしまいました」とごまかします。
「言わぬと罰するぞ!」と、オイディプス王。
もはや隠すことができない羊飼い。両足のくるぶしを刺された赤子がかわいそうで殺せず、コリントの使者に渡したと話し、しかも預かったのは前王の妃イオカステ様ですと証言。
※(刺されて)腫れた足を持てる=オイディプス

ついに真相を知ったオイディプス王
王は急いで、母である妃イオカステーの寝室に入ると、母はすでに首を吊って死んでいました。王は母の着物の留針で、自ら両目を何度も突き刺しました。その直後、テーバイから追放となり、娘アンティゴネーとともに放浪の旅に出ます。

悪者が一人も出てこないで、親切心から悲劇になる、それが『オイディプス王』です。

オイディプス王 前編】詳細へ

私とギリシャ神話との出会い】詳細へ
※このギリシャ悲劇『オイディプス王』が、ギリシャ神話を読むようになったきっかけです。