1話5分で読めるギリシャ神話

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嫉妬するヘーラーの言い分

ヘーラー像(ルーヴル)
〈ヘレニズム時代の原物を摸したローマのヘーラー像 〉ルーヴル美術館

弟に嫉妬する人生(いや神生?)

え? なんの話かって!
夫のゼウスって、わたしの弟なんですよ。だって当時の世界、男神なんてほんの一握り。仕方なく、弟に求愛されて夫婦になったんですよ。こんなわたしだって、可愛く美しい時もあったんです。でも、なぜか、神話に出てくるわたしは、必ず、嫉妬したババアのイメージ。あ〜情けない。なんで、こうなるの!

こう見えても、オリュンポス十二神の一人なんですよ。しかも、ゼウスの妻ですから、「神々の女王」すなわち「世界の女王」なんですよ。みなさん、あの美しい虹イーリスはわたしの召使って、知ってました?

ゼウスの求愛

結婚のときの話ですよ。前の奥さんテミスと結婚していたゼウスったら、雨の中カッコウに化けて、わたしに可哀想に思わせ、部屋に入れたら、犯そうとまでしたの。笑っちゃますよね。カッコウですよ。わたし、もうおかしくて、そんな気分じゃないし、決して肌に触れさせなかったわ。

だから、冗談でゼウスに「わたしと結婚するなら、許すわ」と言ってやったの。そしたら、わたしの美しさにメロメロだったゼウスは「すぐにもテミスとは離婚する」てせまってきたの。そこまで言われては、受け入れ、結婚するしかありませんでしょ。

また、いつものように夫婦ゲンカした時のこと。わたし、オリュンポス山を出てキタイローン山に隠れたんです。夫ったら、私を誘い出すため、花嫁衣装で着飾った女の木像をつくって、「この女と結婚するぞ〜」と言って山の中を歩いてきたの。そこまでして、私を求めているのなら許してやろうかと思ったの。

でも、すんなり出て行って仲直りしたら、夫の面目が立たないでしょ。だから、怒ったふりして飛び出して、その人形の衣装をむしり取ってやったのよ。こうすれば、わたしが夫に夢中ってことになり、世間では「ゼウス様は、あんなきつい奥さんで大変だね」って、話がそれるでしょ。わかった、みんな計算、計算よ。

ゼウスとヘーラー
アンニーバレ・カラッチ〈ゼウスとヘーラー〉

また、毎年春になるとナウプリアのカナートスの聖なる泉で、わたし沐浴して嫌なことぜ〜んぶ洗いながすの。気分転換。この時のわたしは清々しい乙女になるの。美しさでもアプロディーテにだって負けません。さすがに、この時の夫ったら、他の女には目もくれずに私に首ったけ。知らなかったでしょ。
上の絵画のわたし、綺麗でしょ。ゼウスの顔見れば、ふふふ、わたしにメロメロってわかるよね!

だれ? アプロディーテの〈ケストス〉をつけてるからって言ってるのは!
ケストス:相手に愛情をおこさせるアプロディーテの美しい刺繍の帯

私が残虐だって?あなたに何がわかるのよ!

わたし、「神々の女王」なんですよ。全世界の女王。だから、わたしの思いはそのまま世界の掟なの。人間の歴史では「事件の裏には女あり」というでしょ。「ゼウスの裏にはヘーラーあり」そんなわたしの面子を失う行為を許すわけにはいきません。今のわたしは、もう、夫には男女関係を求めていません。だって、もともと冗談から始まった結婚ですから。

それにしたって、夫ったら若い女ばかりに手を出すんだから、わたしへの当てつけ。人間界には夫に暴力をふるう怖い女性もいるようですが、神々の世界の掟では、ぜったい「神々の王ゼウス」には手を出せません。仕方ないから、もう一度言いますが、「神々の女王」の面子を守るためには、残虐と言われても厳しいお仕置きをしなければならないのよ。相手がか弱い乙女だからといって、手加減しません。

婚姻と女性を守護する女神と天の川

こんなわたしが「婚姻と女性を守護する女神」に祭り上げられるなんて、皮肉もいいとこ。周りが気を使ってのことでしょうけど。
それでも、4人の子供、アレース、ヘーパイストス、エイレイテュイア(結婚の神でもあるヘーラーの供として出産と産婦の保護を司る)、ヘーベー(神になったヘラクレスの妻)を産みましたよ。
また、夫の浮気相手アルクメネーの子ヘラクレスには乳も飲ませてやりましたよ。あの子ったら、ホントに力が強いから、わたしの乳房が握りつぶされるかと思った。痛くて、あの子を引き離そうとしたら、乳が空に飛び散ったの。それが、あの美しい天の川になったの、知ってた?

もっと話したいけど、長くなるし、疲れたから今度ね。