1話5分で読めるギリシャ神話

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オデュッセウスの「ハシゴ女」

キルケとその仲間
パルミジャニーノ〈キルケとその仲間〉ウフィツィ美術館

おお、ペネロペイアよ、また1日が過ぎてしまった!

毎晩、わしは嘆いている。トロイア戦争に出征して早20年。どのツラ下げて、帰ればいいのか。「ハシゴ酒」ならぬ、「ハシゴ女」が止められぬ。まぁ、途中嵐にあって、大半の家来が亡くなったと言えば、イタケの人々も諦められるだろう。だがな、帰る途中、島々を略奪し、そこの女と暮らしたいと残った家来も多くいたんだとは言えない。男は、みんな新しい女が好きなのだ。あのトロイア戦争で生き残っただけでも幸せ者で、ハメを外すのも仕方のないこと。それを「故郷イタケには、愛する女房、子供が待っているぞ」と、わしが説いたところで、どうなるものでもない。

魔性の女キルケの体に溺れる

それにしても、アイアイエ島のキルケはいい体をしてた。あの豊満な胸に顔をうずめるのは、なんとも心地よかった。まさに極楽。そして、マリのように弾むナイス・バディ。一年間も一緒に暮らしてしまったが、キルケの体は妖艶さを増すばかりだった。このままでは、精気を吸い取られ、干からびて死んでしまうと恐怖し逃げてきた。が、まだあの体が忘れられぬ。家来どももキルケの女中たちに溺れ、そのまま島に残るものが多かった。

なんといったらいいかな。そうだ。家来たちは魔法をかけられて、家畜にされてしまったと言おう。あのアイアイエ島の女たちは、まさに男を溺れさせる魔性の女たちだったのだから。

カリュプソ
ジョージ・ヒッチコック〈カリュプソ〉

カリュプソはペネロペイアと瓜二つ!

カリュプソは、器量もよく、理想的な女だった。昼も夜も、よく尽くしてくれた。この女となら一生一緒にいてもいいとさえ思っていた。
だがな、カリュプソよ、お前を見ているとペネロペイアを思い出すのだ。それも、20年前の若いペネロペイアだ。その髪といい、顔立ちといい、気立てといい、ペネロペイアとそっくりなのだ。だから、カリュプソよ、お前を見ていると、20年前のペネロペイアと生まれたばかりの息子を思い出していた。二人が不憫で、早く帰らねばといつも思っていた。日が経つにつれて、わしは苦しくてなってしまった。

カリュプソよ、お前は朝起きると、よく悲しい顔してたな。気がついていたのだな。
「オデュッセウス様、何か寝言をおっしゃっていましたよ、ペネロペーがどうしたとか、おお、息子よとか」
もうごまかしきれず、とうとうカリュプソとは別れる決心をした。彼女は黙って、それを許してくれた。

しかし、出航したその夕方に、嵐にあってしまった。残り少なかった家来は、みな波にさらわれ行方が分からなくなった。

貴婦人アレテとその娘ナウシカアとの母娘どんぶり

わしは一人で漂流し、ついに着いた国がパイエケス国。わしは貴婦人と若い娘に助けてもらい、またまた二人に心が動いてしまった。わしは、なんと女運に恵まれていることか。貴婦人とは喜劇、悲劇を見に出かけ、その帰りに宿により食事処で一杯やるのはなんとも楽しかった。また、その娘には世界のいろいろなことを家庭教師として教え、気がついたら色恋も一緒に教えてしまった。

夫人と話しているときは娘の視線、娘に教えているときは夫人の視線が気になっていた。どちらの女からもメラメラした執念を感じたな。早く出発すればよかったが、ずるずる二股を楽しんでいた。そんなことが長く続くはずがなく、とうとう二人に互いの相手がわしだと気づかれてしまった。人柄のいい主人には申し訳なかったが、なんとか船を借りて、イタケに逃げるように帰ってきたが、もう20年間経っていたのだなあ。

そうだ、貴婦人アレテは女神アテーナにしよう。女神アテーナが娘ナウシカアをそそのかし、わしをイタケに帰す計画をしてくれたのだと話そう。女神の意思では、ペネロペイアも納得するだろう!?

オデュッセウスとナウシカア
ミッチェル・デサブレオ〈オデュッセウスとナウシカア〉

ペネロペイアへの恐れ

それにしても、ペネロペイアは20年わしを待っていてくれるだろうか? もう死んだと思って、誰かと再婚したかな。やばい!やばい!このまま、屋敷にまっすぐ帰ったりするのはよそう。まずは、様子を見よう。そうだ、使用人で豚飼いのところに行ってペネロペイアとテレマコス、父母のことを聞き出してみよう。豚飼いもいい年なので死んでいたら、牛飼いのところでもいいか。とにかく、素性を隠して、屋敷の使用人に聞きだすとしよう。
誰も聞きだす相手がいない場合は、乞食をよそおって、とにかく屋敷の様子を探らなければなるまい。

20年か〜、長かったな。ペネロペイアはどんな顔をするかな、怖いようでもある......。臆するな!わしはトロイア戦争第一の功労者、オデュッセウスなのだ。