1話5分で読めるギリシャ神話

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ミノタウロスと悲しき母パーシパエー

夫の罪が妻にむかう、理不尽です。しかし、神の怒りならば、避けることはできません。また、女神アフロディーテとアレースの浮気をパーシパエーの父である太陽神・ヘーリオスが女神の夫ヘーパイストスに告げたからという理不尽な別説もあります。
もう一つの説が、パーシパエーが女神アフロディーテの崇拝をしなかったから、その報いを受けたとの説もあります。こちらの説の方が納得できますね。

ミノタウロス
ジョージ・フレデリック・ワッツ〈ミノタウロス〉テート・ブリテン

クレータ島のミーノース王、ポセイドーンをだます。

ミーノース王は、クレータの王国を神々から授けられた証拠として、海神ポセイドーンに白い牡牛を所望しました。海神は後で生け贄としてこの与えた牡牛を捧げることを条件に、王の望みをかなえました。

しかし、ミーノース王はその白い牡牛があまりに素晴らしかったで、海神ポセイドーンとの約束を別の牡牛を捧げることでごまかしました。そんなごまかしが、海神に通じるはずがありません。海神は怒り、ミーノース王の妃パーシパエーを狂わせたのです。妃は、なんとその白い牡牛に恋をしてしまったのです。

「あの白い牡牛の子が欲しい!」

ミーノース王の妃パーシパエーは、人間としてはあるまじき動物愛に苦しみました。
「牡牛の子供が欲しい!しかし、どうしたらあの牡牛に近づけるだろう」
人間と牛です。愛し合うことは難しいことです。
パーシパエーは悩んだすえ、あのダイダロス(意味:聡明な働き手)の知恵をかりることにしました。

「王妃さま、牛と愛し合うなどとんでもない!」
と、忠告するのが普通の家臣、いや人間です。
しかし、ダイダロスは生粋の大工で並ぶものがなき発明家。難問を与えられると、つい善悪を問わず、解決に突っ走ってしまうのです。

ダイダロスとパーシパエー
ジュリオ・ロマーノ〈ダイダロスとパーシパエー〉

ダイダロスが作った牝牛(めうし)のハリボテ

「王妃さま、それでは私が愛らしい牝牛のハリボテをつくります。
その中にお入りください。
そして、王妃様の思いを遂げてください」

と、ダイダロスはパーシパエーに提案しました。

数日後、まるで生きているかのような牝牛のハリボテができ上がりました。

「なんと可愛らしこと!さすがダイダロス。
これなら必ず望みがかないます」

王妃パーシパエーは感嘆の声を出すと、すぐ牝牛のハリボテの中に入りました。
ダイダロスは白い牡牛(おうし)がいる牧場に、王妃の入った牝牛のハリボテをおきました。

白い牡牛はハリボテを見つけるやいなや、狂ったように駈けてきました。そして、すぐさま後ろからおおいかぶさったのです。

こうして生まれたのが、牛頭で人間の体を持ったミノタウロスです。ミーノース王はダイダロスに怒りましたが、ことは公にはできません。王はダイダロスに命じ、あのラビリンス(迷宮)をつくらせ、ミノタウロスを閉じ込めたのです。

ミノタウロスには、毎年14人の人間が生贄として与えられました。生贄は、アテナイからの貢物です。その頃のアテナイは、強国ミーノース王のクレータの支配下にあったからです。

いずれ、テーセウスがアテナイの生贄としてクレータ島にやってきます。

ところで、パーシパエーと娘二人(アリアドネーとパイドラー)は、不運という定めの下にありました。アリアドネーは不運から酒神ディオニュソスと結ばれます。が、テーセウスの妻となったパイドラーは夫の息子ヒッポリュトスに恋し、受けいられず首をつってしまいます。

その後、王妃パーシパエーがどうなったのかはわかりません。が、魔女キルケはパーシパエーの姉妹であり、姪にはあの魔女メーデイアもいます。だから、パーシパエーも魔女であり、簡単に夫ミーノース王に懲らしめられるはずがありません。

オデュッセイア【第10歌】前編:魔女キルケ】参照

アルゴー船の遠征 3 イアソーンに一目惚れメーデイア姫】参照

テーセウス物語 中編 アリアドネーの糸とペイトリオスとの出会い】参照

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