1話5分で読めるギリシャ神話

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ギリシャ神話ホームギリシャ悲劇|救いを求める女たち【2】[アイスキュロス作]

救いを求める女たち【2】[アイスキュロス作]

(更新日:2021.02.16)

劇としては、『救いを求める女たち』はクライマックスのないまま終わってしまいます。
第2作『アイギュプトスの息子たち』、第3作『ダナオスの娘たち』が重要な内容になっていたことは間違いありません。
だから、彼女たちがどんな理由で永劫の罰を受けるのか? よくわかりません。
49人の夫を殺したのには、それなりの理由があったのですから。

夫を殺すダナイデス
〈夫を殺すダナイデス〉

アイギュプトスの息子たちの船、アルゴスに到着

(ダナオス、登場)
ダナオス
「娘たちよ、安心するが良い。アルゴスの民は言ってくれた。
私たちは自由な市民として移住してもよい、何人にも侵されず、無理やり連れていかせぬ、とな」
(安堵するダナオスの娘たち。が、ついにアイギュプトスの息子たちの船が到着。
ダナオスは敵の船を確認すると、助けを求めに退場)

ダナイデス
「初夜を迎える前に、死神が来ればよい。ああ、追っ手がもう、船から陸に上がってきた」

(アイギュプトスの伝令使、登場)
伝令使
「さあ、とっとと、船に行け。このろくでなしの乞食女」
ダナイデス
「お前たちは、本当に主人とともに嵐の海に沈めばよかったのに」
伝令使
「吠えたり、騒ぎ立てたりしないで、さっさと船に行け」
ダナイデス
「ああ、神さま、ゼウス大神さま、この者たちを向こうへやってくださいませ」
伝令使
「さあ、境内から出てきて、さっさと船へ行け。さもないと、髪をつかんで引きずっていくぞ」

ペラズゴイ、ついにダナイデスを助ける決断を

(アイギュプトスの伝令使が実力行使し、彼女らの髪をつかもうとした時、ペラズゴイ王が従者を引き連れて登場)
ペラズゴイ
「こら、何をしようというのか。我がアルゴスの国で、外国の者が」
伝令使
「自分のものを自分の船に連れ帰るだけだ。ナイルの神を崇めてな」
ペラズゴイ
「この国はギリシャの神を崇めている、ここでの無礼は許さん」
伝令使
「なんてことを言う、客への礼儀をわきまえていないとは」
ペラズゴイ
「当たり前のことを言っている。神前を荒らす者は客とは認めん」
伝令使
「それは、アイギュプトス様の息子に言え。我ら伝令使は一部始終を伝えるのみ。
なんと伝えれば良いか、いったい誰に娘たちを奪い取られて戻ってきたと」
ペラズゴイ
「お前に名乗る必要はない。市民たちが一致して決めたことだ。
娘たちが、承知の上でついていくならばよし。だが、娘たちを無理やり引っ張っていくのは許さぬ」
伝令使
「では、戦いが始まるぞ。勝つのは我らだがな」
ペラズゴイ
「そちらこそ、我らの力を身にしみて感じて後悔する」
(アイギュプトスの伝令使、退場)

ペラズゴイ
「娘たちよ、みんな安心して広い都へおいでなさい。守りも固い市の中へ」
(ペラズゴイ王と従者、退場)
父ダナオス
「娘たち、アルゴスの方々に、そしてオリュンポスの神々に祈りを捧げなさい。
都へ行ったら、命よりも慎みを大事にするよう、けっして街の若者の淫らな誘いに乗ってはいけない」
ダナイデス
「父上、わかっております。私たちは女の熟れた果実を慎み深く隠します。
ゼウス様、どうかアイギュプトスの息子たちとの縁組がなりませぬよう、勝利を私たちにお授けください」

ヒュペルムネストラとリュンケウス。ダナイデス
〈ヒュペルムネストラとリュンケウス。ダナイデス〉

ア救いを求める女たち(ダナイデス)後日談

第2作『アイギュプトスの息子たち』(消失)
第3作『ダナオスの娘たち』(消失)

この後、どんな理由かわかりませんが、50人の息子と50人の娘は結婚することになります。
しかし、ダナオスは娘たちに短刀を持たせ、初夜の秘策を授けます。父の言いつけ通りに、ダナオスの娘たちはアイギュプトスの息子たちを殺します。しかし、ただ一人、長女ヒュペルムネストラだけは長男リュンケウスが処女を守ったので、殺さず逃がしました。

ヒュペルムネストラは殺さなかったことので、父ダナオスに捉えられますが、後に許されリュンケウスと正式に結婚します。この二人の孫アクリシオスがペラズゴイ王家に代わり、新たなアルゴス王になります。その娘がダナエーで、ペルセウスの母です。

なお、ヒュペルムネストラを除くダナオスの娘たちはリュンケウスに殺されたとも、何かの賞品として与えられたとも伝えられています。最後には、ダナオスの娘たちは夫殺しの罪で、冥界で穴の開いた甕(かめ)に水を汲む罰を未来永劫受けています。

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