1話5分で読めるギリシャ神話

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【メドゥーサ完全版】ゴルゴーンから逃げる戦慄のペルセウス

メドゥーサが殺された時、2人の姉は何をしていたのでしょうか?
ゴルゴーン(Gorgon)は3人姉妹!
なぜ、メドゥーサは女神アテーナによってゴルゴーンにされたのか?

アリス・パイク・バーニー:メドゥーサ
アリス・パイク・バーニー〈メドゥーサ〉

長い間、疑問に思っていたことがあります。それは、

メドゥーサが殺された時、2人の姉は何をしていたのでしょうか?

この答えは、ギリシャ神話の資料ではなかな見つかりません。
映画などでも、メドゥーサはたいてい一人で出てきます。ペルセウスが対戦するのはメドゥーサのみです。

メドゥーサの2人の姉について言及されている文献を1冊見つけました。それが、

ヘシオドス 作『ヘレクレスの楯』

この本はヘシオドス の作ではないらしいですが、『イリアス』のアキレウスの楯(下のリンク参照)をまねして書かれたものです。こう書かれています。

楯の表にはまた、髪麗しいダナエーの子、勇者ペルセウスがいたが、その足は楯に触れるでもなく、浮き離れるでもない。どこにも支えを持たぬ、まことに言うも驚きの業だ。むべなり、これこそ名も高き鍛冶の神ペパイストス(アキレウスの楯も同じ)が、黄金もて造ったもの。

両足には翼あるサンダルを履き、肩には、黒革を巻いた剣が、青銅の剣帯で吊り下げられ、彼は思考の如く飛期する。背中一面にかぶさるのは、怖るべき怪物、ゴルゴーン(メドゥーサの頭)。収める銀の革袋(キビシス)が翔る様は、見るも驚きの業。黄金の房飾りがキラキラと垂れ下がり、怖るべき冥王(ハデス)の隠れ兜が、不気味な夜の闇を蔵して、勇士のこめかみに乗っている。

ダナエーの子ペルセウスその人は、おののき慌てふためく者の如く、全速で走る。近づきがたく、名状しがたいゴルゴーンたち(2人の姉)が、彼を掴まえんものと追いすがる。蒼白い不壊金剛の表面で彼女らが動くと、楯は鋭く高く、轟々の響きを上げる。その帯にはニ匹の蛇が、鎌首をもたげて垂れ下っている。蛇どもはチロチロと舌を動かし、凄まじい形相で、力まかせに牙を研ぐ。ゴルゴーンたちの怖るべき頭の上で、大恐慌が湧き上がる。

「おののき慌てふためく」ペルセウスは、なんとか2人の姉から逃げたようです。なぜ逃げられたかというと、『怖るべき冥王の隠れ兜』を被っていたからです。この兜を被ったものは、透明人間になります。

『ヘレクレスの楯』によると、ペルセウスはいつも堂々とした英雄ではなく、普通の人間だったということがわかりますね。

ゴルゴーン(Gorgon)は3人姉妹!

ゴルゴーンの意味は「恐ろしいもの」の意。
ポルキュスとケートーの三人の娘です。

ステンノー Sthenno《強い女》
エウリュアレー Euryale《広くさまよう、あるいは遠くに飛ぶ女》
メドゥーサ Medusa《女王》

※メドゥーサのみが、不死でなはありませんでした。

ペルセウス映画に出てくるグライアイは、ゴルゴーンの姉妹です。ペルセウスに3人で1つの目と歯を奪われて、グライアイはしかたなくゴルゴーンの住処を教えてしまったのです。
ゴルゴーンの住処は、はるか西方の死者の国、ヘスペリスの園、ゲーリュオーンの棲家に近い所です。

なぜ、メドゥーサは女神アテーナによってゴルゴーンにされたのか?

2つの理由が伝えられています。
【1つ目の理由】
ポセイドーンと、アテーナの神殿で交わったため。
【2つ目の理由】
メドゥーサは、もとは美しい少女でした。人間とは傲慢です。その美しさゆえに、女神アテーナと美を競ってしまったのです。ただ、アテーナによってクモにされたアラクネーとは違い、直接戦ったのかどうかはわかりません。

「私は、女神アテーナより美しい」
と言っていただけかもしれません。その時、とくに頭髪に自信をもっていたため、その美しさも誇っていたのでしょう。そのために、頭髪は蛇なった怪物に変えられたのです。
メドゥーサの2人の姉も、同じように言っていたのでしょう。いつも3人で女神アテーナを見下していたのかもしれません。

ゴルゴーンは醜怪な顔をし、頭髪は蛇、歯は猪の牙ようで、また、大きな黄金の翼をもっていました。その眼は人を石にしてしまいます。神も人間も彼女たちを恐れていたそうです。
ペルセウスが空を飛べるサンダルを履いていても見えていれば、2人の姉はペルセウスを追いかけられたはずです。見えないと知っていても、ペルセウスが内心ゴルゴーンを怖がっていたのも納得です。

ところで、ペルセウスがメドゥーサの首を切り落した時、天馬ペーガソスとポセイドーンの子クリューサーオールが生れました。
だから、映画などでペルセウスがペーガソスに乗って、メドゥーサの住処に行くのはおかしな点です。

また、メドゥーサの首は女神アテーナのアイギスの中央に飾られました。
メドゥーサは本来は古い大地女神であり、厄除けの力を有するものでもあったらしく、武器や壁上にゴルゴーンの頭(Gorgoneion)を飾るのはこのためだそうです。

【イリアス第18歌】後編:鍛冶の神ヘパイストスの武具
〈アキレウスの楯と図面〉の写真は、必見です。

アラクネー(クモになった乙女)

→ ゲーリュオーンの牛
ギリシャ神話|ヘラクレス:ヘラクレスの功業9・10

メドゥーサの首を斬り取ったペルセウス
ウジェーヌ・ロマン・ティリオン〈メドゥーサの首を斬り取ったペルセウス〉

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