眠りの神ヒュプノス
夜の子ヒュプノス
(ニュクス)は忌まわしい死の定め(モロス)と、黒い死神(ケール)と、(タナトス)を生み、眠り(ヒュプノス)を生み、(オネイロス)の一族を生んだ。
-- ヘシオドス『神統記』より --
眠りの神ヒュプノスは夜の女神ニュクスの子で、死の神タナトスの兄弟です。晦冥(エレボス)を父とする説もあります。ホメロスによると、ヒュプノスはエーゲ海の北部のレムノス島に住んでいました。
トロイア戦争の時、眠りの神ヒュプノスはギリシャを支援していたヘーラーの頼みでイーデー山に向かいました。その頃トロイアに加勢していたゼウスを眠らせるためです。ヒュプノスは夜の鳥に身を変じてゼウスを眠らせたことにより、美と優雅をつかさどる女神力リスの一人パーシテアーを妻にもらったといわれます。
眠りの神ヒュプノスは死の神タナトスとともに地下の世界に住み太陽を見ませんが、静かに人を訪れます。ヒュプノスは翼のある青年の姿で、人間の額を木の枝で静かに触れるか、液を注いで、人を眠りに誘うように想像されています。
トロイア戦争の時、ヒュプノスはタナトスとともに曙の女神エーオースの子メムノーン、ゼウスの子サルペドーンの死骸を墓場に運んだといわています。また、ヒュプノスにはエンデュミオーンに恋し、目を開けたままで永遠の眠りにつかせたという物語があります。
(一般の説では、エンデュミオーンは、月の女神セレーネーの願いで永遠の眠りにつきます)
ギリシャ神話Images99]No.19
▶︎【眠りの神ヒュプノス】夜の女神ニュクスの息子

夜の女神ニュクスの子 眠りと死
〈夜の女神ニュクスの子 眠りと死〉