死の神タナトス
タナトス〈母に抱かれるヒュプノスとタナトスの双子〉
夜の子タナトス
夜(ニュクス)は忌まわしい死の定め(モロス)と、黒い死神(ケール)と、死(タナトス)を生み、眠り(ヒュプノス)を生み、夢(オネイロス)の一族を生んだ。
ニュクス(夜)とヘーメラー(昼)が近づいて、青銅の大きな敷居を跨ぎながら、挨拶を交わす。一方は中へ降りて行き、一方は外に出るのだが、館は決して、二人同時に中へは入れず、一方が館の外で大地を巡っている間、他方は必ず館の中に留まって、自分の出発の時が来るのを待つ。
一方(ヘーメラー)は、地上の生類のために、遠く見渡す光を携え、他方は、タナトスの兄弟なるヒュプノスを手にしている。暗鬱な雲に覆われた、忌まわしいニュクスだ。
暗黒のニュクスの子供たちも、ここに家を構えている。ヒュプノスとタナトスという恐ろしい神々で、輝き渡る太陽は、天に昇る時も、天から降りゆく時も、その光線の眼差しを、彼らに向けようとはしない。
片方(ヒュプノス)は、大地と海の広い背を、静かに行き来して、人間に優しいが、もう一方(タナトス)は、胸のうちなる心は鉄、肝は情け容赦ない青銅で、ひと度捕まえた人間は、自分のものにする。不死なる神々にさえ憎まれる奴だ。
-- ヘシオドス『神統記』より --


アルケスティスの前でタナトスと戦うヘラクレス
〈アルケスティスの前でタナトスと戦うヘラクレス〉
アルケスティス【1】愛する人のために死ぬ?
あなたは、愛する人のために死ねますか?
アポロン神はアドメトスへのお礼として、彼が死ぬ時、誰かが身代わりになれば本人は生きながらえるようにしました。
しかし、老いた両親をはじめ、とうぜん誰ひとりも身代わりになろうとしません。そんな中、妻アルケスティスが身代わりを申し出ました。
そして、アルケスティスは死を迎えます。そんな彼女を友アドメトスのために、助けようとするヘラクレス。タナトスがやってくると......
ヘラクレスとタナトスの戦い
〈ヘラクレス、タナトスと戦う〉