1話5分で読めるギリシャ神話

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アンティゴネ 4[ソポクレス作]クレオン王の悲劇

父ライオス王に捨てられたオイディプス王の悲劇は、父ライオス王の予期せぬ殺害、母親イオカステとの結婚、そして4人の子を設けます。
ライオス王の殺害の真相が発覚してから、母イオカステの死、自身の昇天、息子ポリュネイケスとエテオクレスの討ち死、そしてアンティゴネの死と続き、幕を閉じます。
ただ一人生き残ったイスメネですが、彼女もいずれ殺害される運命にありました。

オイディプスとスフィンクス

〈オイディプス王の悲劇、ここから始まりました〉

コロス:町の長老たち)

クレオン改心、町の長老の意見に従う

コロス
クレオン王、あの予言者テイレシアス様はけっして、国に対し、嘘の予言をなさったことはありません。
クレオン
それは心得ている。胸が騒ぐのだが、言い負かされるのは苦々しい。かといって、予言者を殺すわけにもいかぬ。
コロス
ご賢察を。
クレオン
長老方、言ってくれ、その意見に耳をかそう。
コロス
アンティゴネ様は岩窟から出してやり、ポリュネイケスは葬ってください。
クレオン
私が負けて、ゆずるのが道というのか。
コロス
早くそうしてやってください。神々の禍いは早いものです。
クレオン
天命か、そうするしかあるまい......。
コロス
他人に任せず、さあ早く、ご自身でそうなさるのがよろしいでしょう。
クレオン
すぐに出かけよう。アンティゴネは直々に立ち会い、解放しよう。
(クレオン、従者と共に退場)

アンティゴネとハイモンの死

(報告者A、登場)
報告者A
町の長老方、クレオン王の息子ハイモン様が、亡くなられました。自ら手を染めて。
コロス
ああ、予言者テイレシアスの言葉が現実になってしまった。

(クレオンの妃エウリュディケ、侍女を従え登場)
コロス
おや、奥の毒なハイモン様の母上エウリディケ様が、お出ましになられた。
エウリュディケ
ちょうどアテーナ女神にお祈りしようと思っていたところなのです。扉のそばで家の不幸を耳にしました。もう一度、詳しく話しておくれ。
報告者A
お妃様、見たままをご報告いたします。
王様の案内をしてまいりました。途中、ポリュネイケス様の亡骸を洗い清め葬りました。その後、アンティゴネ様の閉じ込められている岩窟に行きました。すると、奥から高い泣きじゃくりの声が聞こえてきました。クレオン王にお伝えすると、急ぎ奥に行ったクレオン様の痛ましい叫び声が響き渡りました。

『ああ、なんという惨めな私か、
全く予想していた通りになったしまった!』

それで、私らが急いで確かめに行くと、アンティゴネ様が首を吊ってぶら下がっているのが見えました。なんと、ハイモン様は娘を抱きしめ、今までのことを嘆いておいででした。王様を責めていました。
王はそれを見て取るなり、呼びかけました。

『ああ、不幸な息子よ、なんということをしでかしたか、いったいどのような考えなのだ、どんな禍いがお前の正気を奪ったか、さ、出てこい、息子よ、こう手をついて頼んでいるのだ』
とおっしゃると、ご子息は烈しい眼で睨みつけ、いきなり王様の顔へ唾を吐きかけ、剣を抜いたのです。だが、王が跳んでお逃げになったので、斬りそこなうと、今度はお気の毒に、自分自身に腹を立て、剣を脇腹へ刺しました。でもまだ気を失わずに、力ない腕で娘を抱き締められたのです。烈しくあえいで、真白な頬の上に、真紅な血潮の流れを滴らせて。
(エウリュディケ何も言わず、静かに館に入る)

ハイモンの妃エウリュディケの死

コロス
これはまた、不吉なこと。奥方は何も言わずに館に入ってしまった。ひどく叫ぶのと同じように、静かなのもまた不吉なものだ。
報告者A
では、私が中に入って確かめてきましょう。
(報告者A、館の中へ)
コロス
ほれ、クレオン王がやってきた。
(クレオン、上に布をかけたハイモンの棺とともに登場)
クレオン
ああ、息子よ、お前は私の無思慮のために死んでしまった。まだ若いというのに。
コロス
お気の毒に。考え直すのが遅すぎました。
(報告者B、館の中から登場)
報告者B
王様、奥方様がお亡くなりになりました。
クレオン
ああ、黄泉の神よ、どこまで私をやっつける気か。もう死人も同然なこの私に、お前はさらに打撃を加えた。妃はどうして死んだのか。
(扉が開いて、妃の亡骸が現れる)
クレオン
息子の死骸を抱えている私に、もう一つの死骸が。
報告者B
奥方は剣を取り、名誉の死を遂げられた次男のメガレウス様を嘆き、今度はハイモン様の死を嘆かれました。王様、最後には、息子殺しのため、あなたに不幸があれと呪いました。
クレオン
この過ちは、けっして他人に着せることはできない。私が、妃を殺した。なんと罪深い私か。
(クレオン、館の中に退場)
コロス
驕りたかぶる人々の、大言壮語は、やがてはひどい打撃を受けることになってしまった。

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