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カルロス・シュヴァーベ『エリュシオンの野』
シュヴァーベ〈エリュシオンの野〉

ギリシャ神話の天国はエリュシオン

死後、神々に愛された人々(英雄など)が幸福に生活している天国がエリュシオン。気候温暖で芳香に満ちた島とされています。
ホメロスによると、ハデスの支配下にある冥界とは別の世界。西のはて、オケアノス河の近くにあり、支配者はラダマンテュスと言われています。

冥界にはハデスの下に審判官が3人います。ミノス、アイアコス、そしてこのラダマンテュスです。
ローマの詩人はエリュシオンの野は冥界にあり、白ポプラの木が茂っていると言います。《幸福の島》もまたこれと似たもので、同一場所かも知れません。

ハデスに冥界に連れてこられ死んでしまった女性のレウケー(「白い」という意味)が白ポプラになりました。

イクシオンの拷問ランゲッティ〈イクシオンの拷問〉

ギリシャ神話の地獄はタルタロス

タルタロスは冥界のさらに下にある世界で、「奈落」と訳されます。プラトーンなどの後世では「地獄」として扱われるようになりました。

冥王ハデスがいる冥界とタルタロスとの間の距離は、天と地の間のそれに等しいとされています。タルタロス(冥界)には、その時の覇王である神々にそむいた大罪者が落されます。

タルタロスは。霧たちこめ、神々ですら忌み嫌うよどんだ空間。ポセイドンが青銅の門を作り、その周りは青銅の壁で覆われています。何者も逃げ出すことはできません。

天空神ウーラノスは、大地女神ガイアとの間に生れた最初の子キュクロプスと醜いヘカトンケイルタルタロスに落しました。
しかし、タイタン神族(ウーラノスとガイアの間に生まれた12柱の神々)がウーラノスに勝利した時、クロノスはキュクロプスを一度はタルタロスから出しましたが、ふたたびタルタロスに落したのです。

クロノスの子ゼウスとオリュンポスの神々がタイタン神族と戦った時、ゼウスはタルタロスの番人カムペーを殺し、キュクロプスと50の頭と100の手を持つ3人のヘカトンケイルを解放し、助けてもらいました。

ゼウスとオリュンポスの神々がクロノスとタイタン神族を打ち倒すと、彼らをタルタロスに落とします。ヘカトンケイルはゼウスに加勢した功績により、タルタロスの番人になりました。

アローアダイ、人間ではサルモーネウス、イクシオン、原初の神タンタロスなどがここに落されています。ゼウスにそむけば神々もここに落とされるので、神々や人間たちはタルタロスを恐れました。

アローアダイ
ポセイドンとイーピメディアの子でオートス、エピアルテース。恐るべき怪力の持主でしたが、幼くしてオリュンポスの神々に戦いを挑み、滅ぼされました。

サルモーネウス
自らゼウスと称し、ゼウスの供物を自分に捧げるよう人々に命じ、また戦車で青銅の釜を引いて走り、そのときに生じた轟音を雷鳴だといいます。さらに松明を天に投じて雷だと偽っていました。そのためゼウスはサルモーネウスを雷で撃ち、さらに彼の都市と住人を滅ぼしたのです。

イクシオン
妻の父デーイオネウスを殺し、世界で最初の親族殺害者となりました。ゼウスの妻ヘラを誘惑しようとしたり、死神を捕らえたりしてタルタロスに落とされました。いくシオンは、テセウスの友人ペイリトオスの父親です。

また、タルタロスは神格を持った一人の神でもあります。ヘシオドスによると、タルタロスは原初の神である天空神アイテールと大地女神ガイアの子です。タルタロスは母と交わってギガンテス(巨人族)、テュポン、エキドナの父となりました。怪物の父と言ってもいいでしょう。

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