1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。〈1話5分で読める聖書-アートバイブル

アポロンの母レートーと蛙になった農夫

ゼウスはレートーの苦難を知っていたはずです。
しかし、ゼウスといえども、妻へーラーのすることに口出しはできません。その結果、いつも浮気の相手の女性が苦難を受けるのです。
牛になったエウロペーの苦難はよく知られていますが、アポローンの母レートーことはよく知らない人が多いと思います。

リュキア人をカエルに変えるレートー
ヨハン・ゲオルク・プラッツァー〈リュキア人をカエルに変えるレートー〉

「この者たちがけっしてこの池を離れることなく、
一生をここで送りますように!」

女神レートーは、両手を天に差しのべて叫びました。

ヘーラーの怒り

大神ゼウスの愛を受けた女神や女性は、必ずゼウスの妻ヘーラーの酷い仕打ちを受けます。今度の女神はレートーです。
「この世で一番美しい男神と女神を生むであろう」
との予言もあり、いつもよりヘーラーの怒りは凄まじかったのです。

「日の光の下では、絶対に生ませてはならぬ」
というヘーラーの命令が告示されました。レートーにとって、もはやどこにも出産できる場所はありません。
残っている場所はただ一つ、漂っている浮き島ロードス島。彼女はこのロードス島に行き出産することになりました。この出産後、ゼウスがロードス島をしっかり海底につなぎ止めたということです。
こうして生まれたのが、太陽神アポローンと月の女神アルテミスだったのです。ヘーラーの嫉妬も納得するほどの美しい子供たちです。

リュキアの農夫の嫌がらせ

出産後もへーラーの告示から逃れるために、レートーは幼子二人をつれてさまよいました。
ある日、レートーたち三人はリュキアという村につきました。レートーはもう歩けぬほど疲れ果て、のどもカラカラです。その村には、清らかな沼がありました。沼の周りでは、農夫たちが柳や菅(スゲ)をかり集めていました。レートーは水際に膝をついて、その水を飲もうとしました。

すると、農夫たちはそれを妨害しました。ヘーラーの命令だったのでしょうか?

「あなた方は、
なぜ私たちに水を飲ませてくれないのですか?
水は自然の恵みで誰が飲んでも良いはずです。
私は、ここで体を洗おうとするのではないのです。
ただ、のどの渇きをいやしたいだけなのです。
一口の水でも、あの神酒、ネクタルのように思うでしょう。
あなた方を命の恩人と思います。

どうか、この子供たちをかわいそうだと思ってください。
ほら、ふたりとも可愛い手を差しのべています」

レートーは農夫たちに訴えました。

農夫たちの変身

こんなレートーに心痛まない人はいるでしょうか。それなのに、この愚かな農夫たちは態度を改めないばかりか、ののしり声を親子に浴びせます。
「すぐにもここを立ち去らないと、
ひどい目にあわすぞ!」
そればかりか、沼に入ると、その足で泥をかき回し、水を汚しはじめました。

とうとう、女神レートーは怒り、両手を天に差しのべて叫びました。
「この者たちがけっしてこの沼を離れることなく、
一生をここで送りますように!

すると、その通りのことが起こったのです。

農夫たちは、水面から顔を出したり、ひっこめたり、泳ぎはじめたり、岸に上がったりもしました。いつも下卑た声でののしりあっています。あまりにののしりあっていたため、その口は広く横に裂けてしまいました。首はなくなり、頭と胴はくっつき、背中は緑色になり、腹は白くふくれあがりました。

そう、蛙になってしまったのです。

ギリシャ神話|ゼウス:エウロペーの誘拐(ゼウスの浮気)参照

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フランチェスコ Trevisani〈レートーと蛙になった農民〉

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