ハミルトン〈カッサンドラ〉
アポロンから予言の力を得たカッサンドラ
予言の力を得たカッサンドラは、アポロンの自分に対する未来を見てしまいます。アポロンと愛を交わした後、神が去ってしまうことを一瞬で見てしまったのです。
そのため、カッサンドラは、アポロンと交わることを拒みました。怒ったアポロンは、カッサンドラの予言をトロイアの人々が信じないようにしました。
そのため、パリスがヘレネを奪ってきた時も、木馬をトロイアの城内に引き入れようとした時もラオコーンとともに、「破滅につながる」と予言しましたが、トロイアの人々は誰も信じなかったのです。結果、トロイアは滅びます。
しかし、分からないのが神アポロン。トロイア戦争中、神はいつもトロイアに味方していたのですから。
トロイア陥落時のカッサンドラの悲劇
トロイア陥落時、カッサンドラはアテナの神殿にいました。そこに現れたのが、ギリシャの武将小アイアス。(ギリシャ側でアキレウスにつぐ有名な武将大アイアスとは別人)
アテナ像に抱きついていたカッサンドラ。小アイアスはアテナ像もろともカッサンドラを押し倒しました。このことが、女神アテナを激怒させます。
トロイア陥落後ギリシャへの帰国時、小アイアスの一行は嵐により難破します。しかし、小アイアスは一時ポセイドンにより助けられ、岩礁に上がると叫びました。
「私は死なない。神の怒りは自分には及ばない」
さすがに、ポセイドンも怒り、三叉の矛を投げつけて岩礁を打ち砕き、彼は溺死しました。
アテナの怒りは、小アイアスだけにとどまらず、ギリシャの他武将にも多大な災難をもたらしました。アポロンと同じく、アテナは気まぐれとしか思えません。トロイア戦争中は、終始ギリシャを助けしていたのですから。
カッサンドラの死
トロイア戦争後、カッサンドラはギリシャ総大将アガメムノンの戦利品となり、アガメムノンの故郷アルゴスに連れて行かれます。
しかし、アガメムノンを待ちかねていた妻クリュタイムメーストラーと情夫アイギストスに、アガメムノンとともに殺されてしまいます。
カサンドラーは母となる喜びもなく、若い身空のまま死んでしまいました。しかも、予言者である彼女は、そんな自分の悲惨な運命を知っていたのです。
カッサンドラと双子のヘレノス
ヘレノスは予言者であり、武将。トロイア戦争時には、戦いに出て、兄ヘクトルに助言もしています。他の武将の意見を聞かないヘクトルも、弟ヘレノスの助言には耳を傾けることがあります。
苦戦するトロイア軍を救うため、城内に戻りアテナの神殿に祈りを捧げること。また、ギリシア軍の武将に決闘を申し込むことも助言したほどです。
トロイア軍が優勢でギリシア軍の船陣の防壁を攻撃した時、デーイポボスとともに第三部隊を指揮していました。しかし、メネラオスの槍に手を貫かれて後退しました。
パリスの死後、ヘレノスはデーイポボスとヘレネを争う
父であるプリアモス王は、ヘレネをデーイポボスの妻にしました。ヘレノスは怒りと落胆の中、イデ山に引きこもりました。
ヘレノスは予言者でありトロイア攻略のことも知っていたため、オデュッセウスは彼を捕らえました。そして、その方法を彼に問うたのです。ヘレノス曰く、
- ペロプスの骨をトロイアに持ってくること
- アキレウスの子ネオプトレモスを参戦させること
- トロイアからパラディオンを盗み出すこと
- ピロクテテスがヘラクレスの弓を持って参戦すること
4つのことはすべて成就し、結果トロイアは滅びます。
【ペロプスの骨】
ペロプスはタンタロスの美貌の子。父タンタロスによって殺され、神々の食卓に供されました。この時、ほとんどの神々は気づきましたが、娘のペルセポネを失い落胆していた女神デメテルは肩の肉を食べてしまいました。後、ペロプスは神々により、甦ります。この時の肩の骨か?
【パラディオン】
都市の安全を守るとされている神像で、オデュッセウスとディオメデスがトロイアから盗んだアテナの木製の像。