1話5分で読めるギリシャ神話

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供養する女たち 前編

エレクトラ
フレデリック・レイトン〈アガメムノンの墓前のエレクトラ〉

【アイスキュロス作:オレステイア3部作の第2作】

〔アガメムノンの墓前。息子オレステスと友人ピュラデス〕
オレステス
「冥界のかかりのヘルメス様。助けを求める帰ってきた私たちの見方になってくださいませ」
〔二つの頭髪の束を出して〕
オレステス
「この毛の房は、養育のお礼に故郷のイナコス川に。もう一つは悔みのしるしに父上に」
〔王妃に仕える侍女たち(以下「コロス」)登場してくる〕
オレステス
「供養の器を持っているあの女たちは何者だろう?悲嘆にくれた姉上エレクトラもいる。だがピュラデス、隠れていよう、事情がわからないので」
〔オレステスとピュラデス、物陰に隠れる〕

コロス
「お館から遣わされて、お墓へ供養を祭りにきました私ごも。地の底の死んだ者らが、殺した人をとがめて、心に恨みを保つといわれる。その禍いをはらうために、あの情けもない奥方が私どもを遣わされた」
エレクトラ
「お父様のお墓への供物にそえて、なんてお祈りしたものでしょうか。館にいても虐げられている私たち、どうした者か思案してください、同じ憎しみを胸に抱いているんですもの」
コロス
「お祈りなさいませ。供御を注ぎながら、心を寄せる方々に」
エレクトラ
「それはいったい誰のこと。味方といのは」
コロス
「オレステス様のことをお忘れなきよう。次に、嗜虐の張本人たちへは、殺した報いに、殺し返そう」
エレクトラ
「ヘルメス様、どうか私といとしいオレステスをお憐れみくださいませ。私たちが館の主になれますよう。私たちは生みの親とアイギストによって、奴隷扱いを受けています。
どうかオレステスが戻ってきて、首尾よくやり遂げられますよう、お父様、どうぞ、お聞き入れくださいませ」
コロス
「なにとぞお聞きなされませ、尊く賢いお殿様」

〔エレクトラ、墓の前を見つめて〕
エレクトラ
「あら、そこの髪の毛の房が、お墓のところに見えるわ」
コロス
「いったい、誰のものでしょう?」
エレクトラ
「すぐ判断がつきますわ、私以外にはこれを切ってお捧げする者はいないはず。それほど、似ていますわ」
コロス
「どんな毛房と似ておりますの、教えてくださいますか」
エレクトラ
「ほら、私自身のと、とても似ていますでしょ。弟のオレステスの髪に似ているのです」
コロス
「まさか、オレステス様」
エレクトラ
「お父様を悼むしるしに、届けさせたのね。え、???」
コロス
「どうなさいました」
エレクトラ
「ほら、ここに足跡がありますわ。私のとそっくりなのと、もうひとつ。誰か一緒についてきたのでしょう」

復讐の女神エリニュス
ジョン・シンガー・サージェント〈オレステスと復讐の女神エリニュス〉

〔オレステスとピュラデス、物陰よりあらわれる〕
オレステス
「姉上、お久しゅうございます」
エレクトラ
「おぉ、オレステス。よくぞ、無事に戻ってくれました。して、そちらの方は」
オレステス
「私といつも一緒に行動してくれる親友のピュラデス」
エレクトラ
「ピュラデス様、弟が世話になっております」
コロス
「オレステスさま、ピュラデスさま、無事にお帰りなさいませ」
オレステス
「アポロン神のお導きで帰ってきました。また、ご託宣もあります」
エレクトラ
「アポロン神のご託宣とは?」
オレステス
「父上を殺した張本人たちに、同じやり方で仇を報いろ、さもなくば、私自身が、自分の命でその償いをしなければならないと、アポロン神はおっしゃるのです。このような神託は、まったく信じ切るほかはありますまい。神託がなくても、私はやりとげますが」
エレクトラ
「ああ、黄泉の女王様、立派な勝利をお与えください」
コロス
「でも、それよりも、殺された者の血のしずくが地に注がれれば、また他の血を呼び求める、それが掟。その禍いは、復讐の女神エリニュスを呼び出します」
オレステス
「ああ、なんということか。アトレウスの家系の残骸がどんなに力ない、惨めな様になっているか」

〔オレステス、ピュラデス、エレクトラ退場〕

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