1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。〈アートバイブル〉も、絵画でわかりやすい聖書です。

キュクロプス 前編

ポリュペモス
ジュリオ・ロマーノ〈ポリュペモス(キュクロプス族の一人)〉パラッツォ・デル・テ

オデュッセイア 第九歌
パイエケス国の宮殿に着いたオデュッセウスは、その国のアルキノオス王のもてなしを受けて、自分のこと、今までの数々の苦難を語りました。

トロイアからの帰郷の途上、まずキコネス人の国を略奪したオデュッセウス一行は、そのキコネス人の近隣の同族からの多人数の逆襲にあい、海岸での大激戦の末、各船6人の部下を失いました。

その後、ロートパゴイ人の国で魔力を持つロートスの実を食べて、帰国の意志を失くす部下が続出し、強制的に船に閉じ込め、からくも出航。

そして、野蛮な一つ目巨人キュクロプスの島に着きました。キュクロプス一族は働きもしないが、自然の食物やたくさんの山羊、羊に恵まれて暮らしていました。

この国の近かくに山羊がたくさんいる平坦な島がありました。山羊を捕え、十分な肉とブドウ酒の食事をし、その日は眠りにつきました。

次の日、オデュッセウスは部下を12人連れて、山の上の洞窟にはどのような人種が住んでいるのか探検に出ました。土産品としてアポロンの祭司マロンからもらった美酒も持参していました。

洞窟には、主の姿はありません。が、中には豊富なチーズ、子山羊と子羊がたくさん飼われていました。部下たちは、これらを盗み、さっさと船に戻ろうと言いました。が、オデュッセウスはこの洞窟の主を一目見たかったので、部下の意見を取りあげません。この主が、部下にとってとんでもない疫病神になろうとは思いもしませんでした。

ポリュペモスのいる風景
ギリス・ペーテルス〈ポリュペモスのいる風景〉

みんなでチーズを食っていると、主のキュクロプスが帰ってきました。その巨大な姿に驚き、一行はとっさに物影に隠れました。主は薪を洞窟に放り入れると、山羊と羊の雌のみ洞窟の中にいれ、人間20人でも持ち上げられぬ大岩で入り口に閉じてしました。オデュッセウスたちは、もはや自分たちの力では外に出られなくなったのです。

キュクロプスは山羊と羊の乳をしぼり終わり、火をおこし洞窟の中が明るくなって、オデュッセウスたちに気がつきました。

「見かけぬ奴らだな、何者だ。海賊かなんかで、気ままに海原をさまよっているのか」
恐ろしくもあったのですが、オデュッセウスは勇をこして答えました。
「われらはトロイアを滅ぼしたギリシャのものだ。帰る途中迷ってしまいここにたどりついた。客人に対するしかるべき情けをかけてくださらぬか。ゼウスは客の守り神であるから」

「風来坊よ、お前は馬鹿か。神々の掟を敬えだと。われらキュクロプス一族は神など屁とも思わぬ。神よりわれらの方が強いのだからな。ところで、お前らの船はどこにある?」

オデュッセウスは思案の末、答えました。
「ポセイドーンの嵐によって、岬で破壊されてしまった。ここにいる者達しか生き残らなかった」

やにわに、キュクロプスは二人の部下を捕まえると、床にたたき落として殺し、手足をばらばらにすると夕飯の中に入れ平らげてしまいました。満腹になった主はそのまま眠ってしまいました。

次の日の朝も二人の部下を食べられてしまいました。キュクロプスは家畜の世話をするため外に出かけました。もちろん、大岩で入り口は塞いで、オデュッセウスたちを逃げられなくしたのです。

オデュッセウスはなんとか逃れる手だてを思案しました。主が杖にするオリーブの大木があったので、それを2m程の長さに切って先を削って尖らせました。そして、我慢強く機会がくるのを待っていました。

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