1話5分で読めるギリシャ神話

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パンドラの壷

パンドラ
ジャン・クーザン(父)〈エヴァ・プリマ・パンドラ〉ルーヴル美術館

プロメテウス、天上から〈火〉を盗む
神々が生きものを創造された時、生きていくために必要な力を与えました。鳥にはツバサを、馬には走るヒズメを、魚には水の中でも生きられるエラを、兄神プロメテウスが指揮をとり、弟神エピメテウスが与えることになりました。

たくさんの生きものに贈り物をしたために、人間にあたえる能力がなくなってしまいました。「では、天上から〈火〉をとってきて、人間に与えよう」と、プロメテウスは、鍛冶(かじ)の神ヘーパイストスの炉から火を盗みに出かけました。

火を盗んだプロメテウスは、オオウイキョウの中に火だねを隠し地上に戻りました。エピメテウスは喜んで、その火を人間に与えました。こうして、人間は火をつかい、さまざまな技術を持つことができるようになったのです。

プロメテウス、ゼウスをだます
またある時、神さまへのお供え物である牛や羊のごちそうを、どの部分が〈神々のもの〉か、どの部分が〈人間のもの〉かを決めることになりました。プロメテウスは、一方にはおいしい肉と内蔵をまずそうな皮で包み、もう一方は固い骨をおいしそうなアブラ肉で包み、大神ゼウスに骨の方を選ばせました。(大神ゼウスがだまされるとは?ですが)

その結果、プロメテウスはゼウスの怒りをかってしまったのです。
「人間を愛するプロメテウスめ! ぬくぬく育つ人間め!」

パンドラ
ジョン・D・バッテン〈パンドラの創造〉

パンドラの誕生
大神ゼウスは、何でも作れる鍛冶の神ヘーパイストスに美しい女を作るよう命じました。ヘーパイストスは、ドロをこねて女の形を作り、命を吹き込みました。オリンポスの神々は、飾りや着物、手芸や料理の技術、悪い心までもこの女に贈りました。それで、パンドラ(すべての神々からの贈り物)と名付けられたのです。そして、大神ゼウスは「決して、開けてはならぬ」と言って、あらゆる病気・災いなどが入った〈壷〉をパンドラに授けました。

「人間の災いになるから、神々からのどんな贈り物も受け取ってはならぬ!」と弟に言って、プロメテウスは大神ゼウスから逃るために旅に出ました。数日後、神々からの贈り物として、伝令の神ヘルメースが、"壷"を持ったパンドラをつれてやってきました。兄の忠告をコロッと忘れた弟エピメテウスは、喜んでパンドラをもらいうけました。

ヘルメースとパンドラ
ジャンAlaux〈ヘルメースに連れてこられるパンドラ〉

パンドラの壷
しばらく、エピメテウスとパンドラは幸せに暮らしていました。「決して、開けてはならぬ」と命じられていましたが、開けてみたいのが人間の性(サガ)です。ある日、エピメテウスが出かけている時、好奇心の強いパンドラは、とうとう壷を開けてしまいました。

実は、これが大神ゼウスの目的だったのです。
壷を開けたとたん、病気、憎しみ、ねたみ、嫉妬...あらゆる悪いものが、黒い霧と一緒に飛び出してきました!恐ろしさから、パンドラは急いで壷のふたを閉めました。

そこにエピメテウスが帰ってきました。
「いったい、どうして泣いているのだ?」と、パンドラに声をかけましたが、パンドラは顔をおおい、ただただ泣いてばかりでいます。

すると、壷の中からやさしい声がします。
「ふたを開けてください。私は〈希望〉です」
エピメテウスは、恐る恐るフタを開けました。

〈希望〉の女神が現れ、空へゆっくりと舞い上がっていきます。パンドラとエピメテウスは、ほのかに明るい光に包まれました。

パンドラ
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス〈パンドラ〉