1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。〈アートバイブル〉も、絵画でわかりやすい聖書です。

ペガソスを駆るベレロポン

ペガサスに乗ったベレロポン
ティエポロ〈ペガサスに乗ったベレロポン〉ヴェネツィア・ラビア宮殿

ベレロスを殺した者
ある日、シーシュポスの孫ヒッポノオスは誤って兄弟のベレロスを殺してしまいました。それ以後、彼は「ベレロスを殺した者」という意味のベレロポンと呼ばれるようになりました。彼は兄弟殺しの罪を清めてもらうため、ティーリュンスの王プロイトスの元に身を寄せることになりました。

キマイラ退治
プロイトス王の妃ステネボイアは、たちまち若く美しいベレロポンに恋をしてしまいました。が、ベレロポンは相手にはできません。怒りと屈辱で、王妃は夫にベレロポンに犯されそうになったと嘘の訴えをしました。ベレロポンを預かっている手前、王は彼を殺すことができません。そこで、「この手紙を持ってきた者を殺してくれ」と書いた手紙をベレロポン自身に持たせ、リュキアの王イオバテースのもとに送りました。

イオバテース王は彼を殺す計画を思案し、キマイラ退治を命じました。キマイラはテュポンとエキドナとの間に生まれた怪獣で、頭が獅子、胴が牡山羊、尾が蛇、口からは火を吐きます。まずベレロポンはキマイラを偵察しました。地上からではキマイラを倒せそうもないので、ペガソスに乗り空から攻撃することを思いつきました。

アテーナとベレロポン
〈アテーナとベレロポン〉ポンペイ壁画

アテーナの黄金の轡(くつわ)
ベレロポンの父親グラウコスは大の馬好きで、人肉を与え、気性の荒い逞しい馬を育てていました。結果、父親は荒ぶる馬に振り落とされ、食われたといわれています。ベレロポンも馬が好きで乗るのも得意でした。そんな彼でもペガソスを捕らえ、どう乗りこなせば良いか分かりません。そんな彼に手をかしたのが女神アテーナ。ペガソスを捕まえるのに黄金の轡(くつわ)を与え、乗りこなせるよう黄金の手綱をも与えたといわれています。

ペイレーネーの泉で水を飲んでいたペガソスを捕らえると、ベレロポンは天高く飛びあがりました。キマイラのいる山の洞窟へ向かい、キマイラが洞窟から出てきたところをすかさず空から攻撃。まず、鉛を口に放りこみ、火炎を吐けなくし、槍でその頭を刺し貫きました。

キマイラを退治するベレロポン
ティエポロ〈キマイラを退治するベレロポン〉出典

イオバテース王は驚嘆しました。まさかキマイラを倒してしまうとは思ってもみなかったからです。思案した後、次はアマゾネスの討伐を命じました。これも、ベレロポンはやり遂げて帰還。王はその功績に感嘆して、例の手紙の件を彼に話し、娘の婿に彼を迎えました。

王妃への復讐
しばらくリュキアで暮らしていたベレロポンは、ティーリュンスへ戻ることにしました。彼を落としめた王妃ステネボイアに復讐したいと思い始めていたからです。帰ってきた彼を、王妃はうわべは喜んで迎えました。また、王には内密に彼に謝罪もしました。しかし、王妃の真意を知っている彼の怒りはおさまりません。
「お妃様、ペガソスに乗って大空高く駆けてみませんか」
王妃も天馬に乗ってみたいと思っていましたので、その誘いを受け入れました。二人は天高く飛び立ちました。充分な高さまでくると、ベレロポンは一瞬ためらいましたが、王妃を突き落とし復讐を遂げたのです。

ある日ベレロポンはペガソスに乗っていた時、どこまで高く天に上がれるか試してみようと思いました。そして、オリンポス山の神の神殿までも見えるくらい高く飛んでいました。これにゼウスが激怒、虻を放ちました。虻はペガソスの尻を刺し、ペガソスは驚いて暴れ、ベレロポンを振り落としてしまいました。

キマイラ
モロー〈キマイラ〉モロー独自のキマイラの姿です。