プッサン〈ポセイドンとアムピトリテの勝利〉
ゼウス、ポセイドン、ハデスの世界の分割
ぜウスのオリュンポスの神々がクロノスのタイタン神族と戦ったティタノマキアの時。
ゼウスは大地女神ガイアのアドバイスにより、巨人キュクロプスを味方にしました。この巨人たちから、ゼウスは雷電、ポセイドンは三叉の矛、ハデスはかぶると姿が消える兜を贈られました。
これらの武器により、ぜウスたちは戦いに勝つことができたのです。この後くじ引きで、ゼウスは天空、ポセイドンは海と川、ハデスは冥界の王になりました。
また、この三神が中心になったオリュンポスの神々は、次の巨人族(ギガンテス)との戦いギガントマキアにも勝利することができました。
ポセイドン、アムピトリテに求婚
アムピトリテは、海神ネレウスとオケアノスの娘ドーリスとの間の50人の娘ネレイデスの1人。大波を引き起こしたり、巨大な怪魚や海獣を数多く飼ってもいました。
ポセイドンは彼女に求婚しましたが、彼女は拒否。オケアノスの宮殿に隠れてしまいました(一説にはアトラスの元に)。
ポセイドンは、イルカたちにアムピトリテを探させました。すると、一頭のイルカが彼女を発見し、ポセイドンの元へと連れて帰りました。こうして、ポセイドンはアムピトリテと結婚。
この功績からイルカは空に上げられ、「イルカ座」になりました。ポセイドンとアムピトリテの子がトリトーンです。
日本では、手塚治虫のマンガ「海のトリトン」から可愛らしいイメージがありますが、絵を見るとトリトーンは怪物そのもの。トリトーンはポセイドンに従っていることが多く、また漠然と海に例えられることもあります。
〈トリトン・ポセイドン・アムピトリテ〉
テセウスとアムピトリテ
アテナイの英雄テセウスがミノタウロスの生贄としてクレタ島に渡った時のこと。
ミノス王は、テセウスがポセイドンの子であることを疑いました。ミノスは自分の指輪をはずして海に投げ入れ、
「本当にポセイドンの子ならば指輪を取ってくることができるだろう」
と言いました。
そこでテセウスが海に潜ると、イルカが彼をポセイドンの王宮に運びました。アムピトリテはテセウスに、ミノスの指輪と、真紅の外套、花冠を授けたといいます。(詩人バッキュリデース、第17歌)
これは、テセウス伝説とは違います。なぜなら、一般的にはテセウスの父は、アテナイのアイゲウス王ですから。
〈アムピトリテ、アテナ、テセウス〉
ポセイドンとアテナとの争い
アテナイが都市としてまだ名前もなかった、最初のケプロプス王の時代、この市の支配権をめぐり、ポセイドンと女神アテナが争いました。神々の裁定で、この市民によりよい贈り物をした方が、この市の守護神となることが決まりました。
ポセイドンは三叉の矛で地をうち泉を湧き出させたとも、素晴しい馬を贈ったとも言われています。アテナはオリーブの木を贈りました。神々の裁定で、オリーブの木の方がこの都市にとっては有益とされ、アテナの勝利となり、アテナイ市と名付けられたのです。
ガロファロ〈ポセイドンとアテナの戦い〉
ポセイドンの怒りとゼウスの仲介
ポセイドンは怒り、アテナイに洪水を起こしました。とうとう、ゼウスが仲介に入り、アクロポリスにアテナ神殿を、エーゲ海に突き出たスニオン岬にポセイドン神殿を築くことにより、この二神は和解しました。
メネラオス王以前のトロイア王ラーオメドーンの時代、ポセイドンとアポロンは頼まれてトロイアに城壁を築きました。トロイアの城壁が最後まで落ちなかったのは、このふたりの神々の功績です。
ラーオメドーン王はこの城壁の報酬を払わなかったため、アポロンは疫病を、ポセイドンは巨大な海の怪物を送りました。この怪物は、ヘラクレスによって退治されました。
ヘラクレスはわざと呑み込まれてこの怪物の中に入り、三日間腹の中から攻撃し、この怪物を倒したということです。このようなことから、トロイア戦争の際、ポセイドンはアカイア(ギリシャ)側につくことになったのです。
しかし、アポロンはトロイア側につきました。