1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。姉妹サイト〈絵画で分かりやすい旧約聖書・新約聖書

テーセウス物語 前編

テーセウスに父の武器を示す
ニコラス・ガイ Brenet〈母アイトラー、テーセウスに父の武器を示す〉

テーセウスの誕生と旅立ち
テーセウスは、アテナイ王アイゲウスとトロイゼーン王の娘アイトラーの子でトロイゼーン生まれ。父は黄金の剣とサンダルを大きな岩の下に埋めました。また、テーセウスが成長したらアテナイの後継ぎとして再会することをアイトラーと約束してアテナイへと戻りました。

テーセウスが大きくなると、母は彼をあの大きな岩のところに連れて行くと「素手で動かしてごらん」と言いました。テーセウスが岩を動かし、埋まっていた黄金の剣とサンダルが出てくると、母は父アイゲウス王とのいきさつを話しました。

数日後、テーセウスはアテナイへ出発。ヘラクレスに憧れていた彼は、安全な海路をとらず、危険な山道を選び、山賊や追いはぎを退治しながら進みました。中には〈引きのばす男〉プロクルーステースもいました。彼は旅人を〈鉄の寝台〉に縛り付け、体が寝台より短いと引き延ばし、長いとその分切り落として殺していました。テーセウスは、同じようにしてこの悪人を懲らしめたのです。

テーセウス、アテナイで父と再会する
テーセウスはアテナイに着くと、アイゲウス王の館を訪れました。その時の王の妃は、イアソンと別れた魔女メーデイア。その魔力によって、この若者が王の息子であると察知しました。以後自分の立場が悪くなることを考え、王に「この若者は怪しい、殺してしまいましょう」とそそのかし、毒殺することにしました。

テーセウスは剣を脇におき、食卓に着くと毒の入ったグラスをとりました。アイゲウス王はその黄金の剣を見て、またサンダルも確かめ、この若者こそ自分の息子であると確信。真相がばれると、メーデイアはさっさと二輪車に乗り逃亡しました。

父に認められるテセウス
H・フランドラン〈父に認められるテセウス〉

ミノタウロスの生贄としてクレータ島へ
アイゲウス王とテーセウス父子の話は、故郷トロイゼーンのこと、母のことなど尽きることはありません。しかし、今のアテナイが強国ミーノース王のクレータの支配下にあること、毎年7人の少年と少女を、ミノタウロスの生贄として貢いでいることも話題に登りました。

原因は、クレータ王ミーノースの若き息子アンドロゲオースの死。
彼は心身ともに優れていて、アテナイの各競技で何回も優勝。自信にあふれていたこともあり、街を荒らしていた凶暴な牛の退治を志願し、逆に牛に殺されたということです(一説には、優勝をねたんだアテナイ人に殺された)。アテナイと強大なクレータは戦争になりました。アテナイは疫病の蔓延もあり、降伏を選び、その代償が14人の少年少女でした。

正義感の強いテーセウスは怒り、自ら生贄になることを志願。アイゲウス王は反対しましたが、テーセウスの意志は変わりません。

クレータに14人の少年少女を送る日がやってきました。もし生きて帰れれば、王は目印に船に白い帆を掲げることをテーセウスに約束させました。

王女アリアドネーの恋とダイダロスの助言
テーセウス一行はクレータ島に到着すると、ミーノース王の前に連れて行かれました。側にいた王女アリアドネーはテーセウスに一目惚れ。それ以来、彼女は眠ることもできず、いつも彼のことを考えています。

「あの方を助けたい。ミノタウロスに勝ってもらいたい。でも、勝ってもあのラビリンスからは出られない。どうしたらいいの......」
ミノタウロスは、牛頭と人間の身体を持つ化け物。そのおぞましい出生からダイダロスが作った、決して出られないラビリンスに閉じ込められていました。

アリアドネーはダイダロスに相談しました。
「ミノタウロスを倒し、ラビリンスを出る方法がないの、教えて」
「テーセウスに剣を渡しなさい。入り口で王女様が糸の端を持って、彼にその糸玉を持たせます。ミノタウロスを倒したら、その糸をたどって出口に戻るよう伝え、一緒にお逃げください」

テーセウスとアリアドネー
ジャン・バプティスト・ルニョー〈テーセウスとアリアドネー〉

ミノタウロスを倒し、アリアドネーと逃亡
その夜、テーセウスはラビリンスに侵入。ミノタウロスを倒すと、アリアドネーと13人の生贄とともに逃亡しました。必ず追いかけてくるクレータの船の底に穴を開けておくことも忘れません。

夜が明けると、「ギリシャの生贄がいない!」と城中が大騒ぎになりました。「アリアドネー様もおりません!」乳母がミーノース王に伝えました。

真相が分かると、怒った王はテーセウス一行を追跡させました。船の穴を直すのに時間が取られ、かなり遅れていました。その頃、テーセウス一行は、ナクソス島(ディオニュソスの島)で休憩をしていました。

しばらくして「クレータの船が追ってきたぞ〜」見張りが大声で叫ぶと、大急ぎで出発。その時、アリアドネーは眠っていて、船に乗り遅れてしまいました。テーセウスは悲しみましたが、どうすることもできません。(アリアドネーは、後にディオニュソスの妻になります)

父アイゲウス王の自殺
アテナイに到着する時、テーセウスは悲しみのあまり、父アイゲウス王との約束を忘れていました。もし生きて帰れば、目印に船に白い帆を掲げることを。王は崖の上から船の黒い帆を見て嘆き、崖から飛び降りて自殺してしまいました。

〈テーセウス物語 後編〉