モロー〈ヘラクレスとレルネーのヒュドラ〉
ヘラクレスの難業2はヒュドラの退治
ヒュドラは多くの怪物の父母テュポンとエキドナの子。アルゴスの地レルネーの泉(アミュモネの泉ともいわれます)に生息。9つの頭を持ち、真ん中の大きな頭は不死の水蛇。吐く息は猛毒で、触れたものはみな死んでしまいます。
ヘラクレスは火矢を水の巣窟に放ち、ヒュドラを陸地におびき出します。この時、女神ヘラはヒュドラの助けに大蟹カルキノスを送りこみましたが、ヘラクレスは簡単に踏みつぶしてしまいました。
別説では、ヒュドラと同じレルネーの泉に住んでいた大蟹カルキノス。ヒュドラを助けるべく、自らの意思でヘラクレスに向かっていき、その足を挟みました。が、簡単に踏みつぶされてしまったのでした。
1つの首の切り口から2つの頭が生えるヒュドラ
鼻と口を布でおおったヘラクレスは、8つの頭を棍棒でたたき落としていきます。ところが、1つの切り口から新しい2つの頭が生えてきます。
ヘラクレスは、従者で甥のイオラーオスに言いました。
「これでは、埒(らち)が明かぬ!森の木を切り、松明にして持ってこい!」
ヘラクレスがヒュドラの頭をたたき落とすと、即座にイオラーオスはその切り口を松明で焼きました。こうして、8つの頭を倒すことができました。
最後にヘラクレスは不死である真ん中の大きな頭をたたき落とすと、地面に埋めました。その上に大きな岩をおき、二度と出て来れないようにしたのです。ヘラクレスはヒュドラの胴体は裂いて、その肝の血を矢じりにつけ毒矢としました。
以後、このヒュドラの毒矢は、ヘラクレスの大きな武器となります。
アミュモネは、アルゴス王ダナオスの50人の娘(ダナイデス)の1人。アルゴスの領有権をめぐり、女神ヘラとポセイドンが争いました。
女神ヘラが勝ったのですが、ポセイドンはその判定に腹を立てて、この地に旱魃(かんばつ)を起こしました。
そのため、ダナイデスは水を求めて探しまわりました。アミュモネも探索に出ていました。
彼女を愛したポセイドンが、三叉の鉾で地を打つと、三つの泉が湧き出ました。この泉がレルネーの泉、あるいはアミュモネの泉です。