【女神ネメシス】神の怒り〈義憤〉で〈復讐〉ではない!
(更新日:2023.03.26)
レーテル〈ネメシス〉
ネメシスは〈義憤〉で〈復讐〉ではない
有翼の女神で、夜の女神ニュクスの娘とされます。
ネメシスは、人間の思い上がった無礼な行為に対する神の怒りから罰を与える女神です。Nemesis(ネメシス)の語は元来〈義憤〉の意味ですが、よく〈復讐〉と間違えられます。
エコーの愛を拒んだナルキッソスに罰を与えたのは、ネメシスであると言われています。
ネメシスの二面性
ネメシスは二面性とは、呵責のない復讐の面とその復讐をなだめ恩恵をほどこす面です。
ネメシスはまた「運命の女神」とよく間違われることから、砂時計を持っている姿で絵画に描かれます。しかし、ネメシスと砂時計との関係を説明している神話は見つかりません。
一般的には、「運命の女神」はクロートー、ラケシス、アトロポスの3人です。クロートーが運命の糸を紡ぎ、ラケシスはその糸の長さを決め、アトロポスが最後に糸を断ち切ります。
ギリシア悲劇においては、復讐の女神は「エリーニュス」として、神罰の執行者としてしばしば登場します。アテーナイではネメシスの祭「ネメセイア」が行われました。これは十分な祭祀を受けなかった死者の恨みが、生者に対して悪いことをしないように、とりなしをすることが主な目的です。
サージェント〈オレステスと復讐の女神エリーニュス〉
ネメシスがトロイア戦争のヘレネーの母とされる説
ゼウスはネメシスと交わろうとしましたが、ネメシスはいろいろな姿に変身して逃げました。ネメシスがガチョウに変身した時、ゼウスは白鳥となって交わりました。
ネメシスは2つの卵を生んで、この卵を羊飼いが見つけました。羊飼いは、この2つの卵をスパルタの王妃レーダーに献上しました。この2つの卵から、1つはアガメムノンの妻クリュタイムメストラ、もう1つからディオスクーロイが生まれたとされます。
しかし、この2つの卵の両親は、ゼウスと女神レーダーとされる説の方が一般的です。
→ 運命の3女神
モロー〈ネメシス〉