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1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードを絵画から分かりやすくまとめています。ギリシャ神話は美術を鑑賞する時、必ずあなたの役に立ち想像力を羽ばたかせてくれます。

アラクネー(クモになった乙女)

アラクネー
ディエゴ・ベラスケス〈アラクネの寓話(織女たち)〉プラド美術館

アテーナの誕生
アテーナはゼウスの頭から、完全に武装した成人の姿で、飛び出したと言われています。実用的な技術、装飾的な技術を司り、知恵と戦いの神でもあります。その力は防御するもので、軍神アレースのような攻撃的なものではありません。

アテーナイの最初の王・ケクロプスの時代に、アテーナはポセイドーンと争いました。有益な贈り物をした神にこの町を捧げるという条件でした。ポセイドーンは馬を、アテーナはオリーブの木を贈りました。神々はオリーブの木の方が有益と判断して、この町をアテーナに与えたのです。それで、この町は「アテーナイ」と呼ばれることになりました。

乙女アラクネーのおごり
もう一つ、別の争いもありました。それは織物が得意な乙女がアテーナに挑んだのです。彼女の名は、アラクネー。彼女の織物の技は素晴らしく、できた織物だけでなく、作業する姿も美しいものでした。森や泉のニンフたちが、いつも見に来ていたほどです。アテーナが自ら教えたのではないかと噂されていましたが、アラクネーはこれを否定し弟子と言われるのを嫌いました。

「女神アテーナと勝負してみたいものだわ、負けたらどんな報いでも受けましょう」

これを聞いたアテーナは機嫌をそこねて、老婆に身を変え、アラクネーに忠告しにいきました。
「年寄りの言うことを聞きなさい。勝負は同じ人間同士でしなさい。決して、女神さまと争ってはなりませぬ。前に申されたことを女神さまに赦してもらうように。女神さまは慈悲深いお方だから赦してくださるでしょう」
アラクネーは織っていた手をとめると、キッと老婆をにらんで言いました「そんな忠告なんて、他の人にして。私は一歩だって引かないし、あんな女神なんかちっとも怖くないんだから。今すぐ、勝負したいものだわ」

「女神は、今ここにいます」
アテーナは言い、神の姿を現しました。回りにいたニンフたちは敬服して頭を下げました。アラクネーは顔を赤く染め、そして青ざめましたが、決意を変えることはありませんでした。

アテーナとアラクネーの織物対決
アテーナの織物は、様々な色合いが見事なものでした。ポセイドーンとの争いの図で、周りにはそれを見守るオリンポスの十二神。ポセイドーンが大地を撃ち馬を出現させ、アテーナ自身は兜をかぶり、アイギスの楯を持った姿でした。四隅には様々な戦いの図を描き、アラクネーにこの競争をやめるよう警告したのです。

一方のアラクネーの織物も見事でしたが、神々の失敗や過ちを描き出しました。レーダーが抱きしめている白鳥(実はゼウス)、閉じ込められたダナエーに降り注ぐ黄金の雨(これもゼウス)、エウロペーを連れ去る牡牛(これまたゼウス)、この他にも同じようなシーンで、彼女の神々への不遜な心と不敬の念を強く表現していました。

アテーナは、アラクネーの織物の技には感嘆せずにはいられませんでしたが、こうした神々への侮辱には憤りを感じました。手にした梭(ひ:織機の用具)で織物をずたずたに裂いてしまいました。それから、アラクネーの額に手を当て、彼女にその思い上がりを悟らせましたが、アラクネーは反省することもなく、我慢できずに首をつって死んでしまいました。

クモになったアラクネー
不憫に思ったアテーナは、その紐に手をふれ言いました。
「生き返りなさい、罪深い女よ。このことを忘れないように、子孫代々までぶら下がりつづけなさい」
そして、アラクネーの身体にトリカブトの液をかけました。すると、髪は抜け、鼻もなくなり、身体は縮んで頭は小さくなり、指は胴体にくっつくと細長く伸び、クモの姿になりました。それ以来、クモは糸を出してはぶら下がり、糸を紡いでは巣を作り続けているのです。

アラクネー2