1話5分で読めるギリシャ神話

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ヘラクレスの最後と神格化

デーイアネイラの誘拐
ルイ・ジャン・フランソワ〈デーイアネイラの誘拐〉

ヘラクレスの最期

オンパレーとの3年間の生活の後、ヘラクレスはデーイアネイラと結婚し、平和に暮らしていました。
ある日、旅に出かけたヘラクレスとデーイアネイラは、ある河にさしかかりました。この河の渡し守がケンタウロスのネッソス。ヘラクレスは自分は河の浅瀬を渡ることし、デーイアネイラをネッソスに頼みました。

しかし、大急ぎで向こう岸に着いたネッソスがなにを血迷ったのでしょうか、デーイアネイラをさらって逃げようとしました。デーイアネイラは大声を出して助けを求めました。すぐさま、ヘラクレスはヒュドラーの毒矢でネッソスを射殺しました。

悪知恵のあるネッソスは、デーイアネイラに言い残しました。
「ヘラクレスの愛が離れたり、他の乙女に向かった時は、この血を衣服に浸して着せなさい。愛を取り戻せますから」
デーイアネイラは言われたままに、ヒュドラーの毒が混ざった彼の血を採っておきました。

その血を使う時がやってきました。ヘラクレスが征服したオイカリアの王女イオレーを捕虜にしてに帰ってきました。神々に感謝の儀式を上げるため、ヘラクレスは使いの者リカースを家に儀式用の衣服をとりに行かせました。デーイアネイラは、ネッソスの血を浸した服をリカースに持たせました。

ヘラクレスがこれを着ると、体温で暖まるにつけ猛毒が体に染み込んで行き、彼は苦しさからリカースを海に投げてしまいました。服を脱ぐにも、服は焼けただれた体にまといつき離れません。肉ごと衣服をはぎとり、何とか家に帰り着いたヘラクレスを見て、デーイアネイラは自分がネッソスにだまされたことを知り、自ら命を絶ちました。

火葬壇上のヘラクレス
ルカ・ジョルダーノ〈火葬壇上のヘラクレス〉

ヘラクレスの神格化

死ぬ覚悟を決めたヘラクレスは、オイテー山に登り、火葬の薪を積み上げ、棍棒を枕にし、ライオンの毛皮を体にかけました。その弓をピロクテーテースに渡すと、火をつけるよう命じました。その顔は日常に食卓に着くような穏やかな表情でした。

神々はヘラクレスの死を惜しみ、悲嘆にくれました。が、ゼウスは明るく宣言しました。
「ヘラクレスの功業はみんな知っているところである。また、彼の半分の人間の部分は燃え尽きたが、半分は神である私の資質で永遠に滅ぶことはない。彼を神々の座に迎えいれるつもりだ」
ゼウスの言葉は最初自分への当てこすりだと感じたヘーラーですが、人間の部分が焼き尽くされ、残った気高い部分が姿を現してくると、今までのヘラクレスに対する憎しみが消えてくるのを感じてきました。

ゼウスがヘラクレスを4頭だての馬車で天に運び上げて住まわせると、アトラスは天球の重みが増したことを感じました。ここにいたり、ヘーラーも完全にヘラクレスと仲直りして、娘のヘーベーを妻に与えたのです。

ヘラクレスの神格化
フランソワ・ルモワーヌ〈ヘラクレスの神格化〉
ゼウスが娘ヘーベーの手を取って、右中央の棍棒を持ったヘラクレスに渡そうとしている。