1話5分で読めるギリシャ神話

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トロイア戦争後のヘレネー 前編

ヘレネーはテレマコスを認識する
ジャン=ジャック Lagrenée〈ヘレネーはテレマコスと分かる〉

トロイア戦争の原因」になったヘレネーですが、
彼女はトロイア陥落時に死んだのでしょうか?
いえ、生きていて元の夫メネラオスと幸せに暮らしていたのです。

オデュッセイア 第四歌
10年のトロイア戦争後10年間行方不明の父オデュッセウスの消息を求め、息子テレマコスがギリシャ総大将アガメムノンの弟メネラオス王を訪問しました。テレマコスは、老ネストールの息子ペイシストラトスと一緒でした。

ヘレネーがメネラオス王に尋ねました。
「わが君メネラオスよ、この方々はどなたですか。なんとまた、こちらの方はあの勇士オデュッセウス殿とよく似ていることか。恥知らずな私のために、トロイアまで遠征してきたあの方の面影が多くあります」

メネラオス王いわく
「奥よ、そなたの言うとおりだ。足といい手といい、また目の配り、頭の形、髪の手もオデュッセウスはこの通りであった。わしのためにどれほどの苦労を彼がしてくれたことか」

ヘレネー
アントニオ・カノーヴァ〈ヘレネー〉

その言葉に応えて老ネストールの息子ペイシストラトス
「ゼウスの愛を受けたメネラオス王よ、ここにおられるのは、仰せのごとくあの方のご子息です。わたしは、父ネストールの言いつけで、この方をここにお連れしました。父親が不在で、大人の助けが必要な子供には、屋敷内の苦労があるものです。テレマコスの場合もその通りなのです」

※オデュッセウスがトロイア戦争後の10年間も行方不明で、妻ペネロペイアに街の有力者の求婚が殺到し、オデュッセウスの家で飲み食いのし放題を続けていた。ペネロペイアは、なんとか取りつくろい求婚者の申し出を断っていた。また、テレマコスの立場もないがしろにされていた。

メネラオス王いわく
「ああ、なんということか。わしのために艱難辛苦をなめてくれた親友の子息がそんな苦労をしているとは。オデュッセウスが無事に帰ってきたら、このアルゴスに広大な敷地と屋敷を与え、友情を分かち合うつもりであった。が、気の毒にいまだ帰国がかなわぬどころか消息もつかめない」

その言葉に、みんな涙を流した。

「ここはしばし悲しみを忘れて、食事にしよう。明日になったら、心ゆくまでテレマコスと話し合うつもりだ」

王の言葉を聞いて、ヘレネーはかつて訪れたエジプトの医者から贈られた薬を酒に混ぜた。これはあらゆる苦悩を忘れさせる秘薬であった。たとえ父母の死にあい、目の前で兄弟や子供を殺されても、その日は頬を涙に濡らすことはなかった。

それから、ヘレネーは静かに語りはじめました。

トロイア後のヘレネー 後編ヘ

ヘレネー
ギュスターブ・モロー〈ヘレネー〉