1話5分で読めるギリシャ神話

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天界・海・冥界の3王妃の神話

三界の妃ヘーラー、アムピトリーテー、ペルセポネー

天界ゼウスの王妃ヘーラーは嫉妬深い意地悪婆さんになり、海神ポセイドーンの王妃アムピトリーテーと冥界ハーデースの王妃ペルセポネーには、本人自身の神話がほとんどありません。三界の妃でありながら、おざなりな扱いとしか言いようがありません。

天界ゼウスの王妃、嫉妬深いヘーラー

ヘーラーには、気の毒なくらい嫉妬深いイメージがついています。もちろん、ゼウスのためです。ゼウスが浮気するたびに彼女は怒りますが、ゼウスの浮気は止むことがありません。そのため、ヘーラーの鬱憤は、ゼウスより浮気相手やその子供に向かいます。エウロペ、イーオーなどは、諸国遍歴の苦労をさせられます。

ペルセウスの子孫ヘラクレスはミュケーナイ王の地位を確約されていました。
「今日生まれる最初のペルセウスの子孫(ヘラクレス)が全アルゴスの支配者となる」と誓言したゼウス。ヘーラーは、まだ7か月だった同じくペルセウスの後裔エウリュステウスを先に産まれるようにしました。ヘラクレスから王座を奪ったのです。ヘラクレスは生まれてからも狂気にさせられ、それが原因であの10の苦難(功業)を課されました。

また、レートーがアポローンとアルテミスを出産する時、ヘーラーは「日の光の下では、絶対に生ませてはならぬ」と命令を出しました。もはや、不安定な浮き島ロードス島しか、産む場所は残っていませんでした。この島はレートーの出産後、浮き島から海底につなぎ止められました。

ヘーラーには、女神でありながら意地悪婆さんといったイメージが付いてしまいました。ヘーラーだって、美しい乙女の時代があったのですが......。

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ヘーラーとゼウス
〈ヘーラーとゼウス〉

海神ポセイドーンの王妃アムピトリーテー

「ポセイドーンの奥さんは、誰だか知っていますか?」
と、聞かれても答えられる人は少ないのではないでしょうか。三人の妃の中では、彼女は一番ギリシャ神話には登場しません。

でも、「トリトンの母」といえばわかるかもしれません。手塚治虫のマンガに『海のトリトン』があったからです。ですが、ギリシャ神話に出てくるトリトーンは、可愛くはありません。むしろ、海の怪物です。

アンドロメダの母であるエチオピアの王妃カシオペアが口を滑らせました。
「私やアンドロメダの美しさには、海のニンフですらかなわないでしょう!」
海のニンフ、ネーレイデスの父は「海の老人」ネーレウスで、ポセイドーンの子です。だから、孫娘を侮辱されたとして、ポセイドーンは怪物ティアマトをエチオピアに送ります。

明記されていませんが、たぶんアムピトリーテーが飼っていた怪物ではないかと思われます。ティアマトは、アンドロメダを救ったゼウスの子ペルセウスに石にされてしまいます。この時、ポセイドーンが怒ったとの記述はありません。ゼウスに遠慮したのでしょうか?

とにかく、ポセイドーンに求婚されたアムピトリーテーの神話以外は、ほとんどありません。が、絵画や彫刻は多くあります。特に西洋の噴水には、彼女の彫刻が多くあります。

ポセイドーンとアムピトリーテー】詳細へ

アムピトリーテーとポセイドーン
〈アムピトリーテーとポセイドーン〉

冥界ハーデースの王妃ペルセポネー

イタリアのボルゲーゼ美術館にあるベルニーニ〈ペルセポネーの略奪〉は、同作者の〈アポローンとダフネー〉と同じく、その肌の表現は大理石とは思えないほど人間の女性の柔らかさが表現されています。

ギリシャ神話では、ペルセポネーはハーデースに誘拐されたこと以外あまり出てきません。出てきたとしても、いつもハーデースの横に座っている程度です。オルフェウスが冥界に行った時も、ハーデースと妃ペルセポネーは一緒ですが、彼女が話すことはありません。

ペルセポネーがハーデースに誘拐されたのは、美の女神アフロディーテの嫌がらせです。女神は息子エロースに言います。
「ハーデースの胸に、一本射っておやり。知恵の女神アテーナや狩りの女神アルテミスは、恋にしか関心がないと私をバカにしているのです。豊穣の女神の娘ペルセポネーも二人をまねして......。あぁ、いまいましい!」

こうして、ハーデースはペルセポネーを誘拐しました。この時の母である豊穣の女神デーメーテールの苦悩の旅は、多く語られています。また、母娘の再会の時も、彼女は母に会えた喜びを声に出してはいません。手を母に差し伸べている絵画はありますが。ペルセポネーの会話が明記されているシーンがないのです。

ハーデースが彼女を冥界に残しておくために、食べると地上に戻れなくなるザクロも、与えられるとすんなり口に入れています。その結果、彼女は地上と冥界を交互に行き来して生活しているのです。娘と一緒にいる時、母デーメーテールは喜び大地は栄え、娘といない時は悲しみ大地は枯れ、春と冬になりました。四季の始まりです。

「ペルセポネーも二人をまねして」とアフロディーテの言葉を最初にあげましたが、アテーナやアルテミスの会話を、ただ黙って聞いていただけなのかしれません。ペルセポネーってどんな女性なのか、全然見えてきません。

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ペルセポネーとハーデース
〈ペルセポネーを誘拐するハーデース〉