月桂樹になったダプネー
ベルニーニの傑作「アポロンとダプネー」。大理石でこんなにも繊細な人間の肌が表現できるのか!
その肉体の柔らかな質感。この彫刻は、宙に浮く感じがあまりに繊細なため、崩れないよう補強されているそうです。
大蛇ピュトーンを弓矢で退治したのが、若きアポロン。そのことを得意に思っていた彼は、小さいエロスが弓矢を持っているのを見て言いました。
「おい、いたずら坊主。弓矢なんかを持つんじゃない!弓矢は、私のような怪物を倒した者が持つ武器なんだ」
「アポロンさん、ボクの矢はあなたの胸にだって刺さるんですよ」
そう言うと、エロスはアポロンに恋心を燃やす〈黄金の矢〉を放ち、ダプネーの胸には恋をはねつける〈鉛の矢〉を放ちました。
すると、アポロンはダプネーに夢中になりますが、ダプネーは恋を嫌います。はたして、2人の運命はどうなるのでしょうか?
ポプラの木になったパエトンの姉妹ヘリアデス
パエトンの神話『パエトンの墜落』は、このサイトでも人気があります。
しかし、意外に知られていないのが、パエトンの姉たちがポプラの木になったこと。その流した涙が、琥珀(こはく)になったことです。
パエトンの神話では最後にちょっと触れられる程度ですから、彼女たちが知られていないのは仕方ありません。また、パエトンの母の名「クリュメネ」を知っている人も少ないと思います。
そして、ツルになったパエトンの友だち。ツルはゼウスを恨んで、パエトンを殺した雷火を思わせるもの「火」には近づきません。
はたして、パエトンの姉妹ヘリアデスは、どうしてポプラの木になってしまったのでしょうか?
糸杉になったキュパリュッソス
アポロンが愛した少年の一人がキュパリュッソス。
ケオス島のカルタイアの野のニンフに捧げられた金色のツノを持った大鹿がいました。首には宝石をちりばめた首輪、額にはお守り、耳には真珠の飾りがついていました。
この大鹿を可愛がっていたのがキュパリュッソス。
しかし、理由は定かではないのですが、彼は誤ってこの大鹿を槍で殺してしまったのです。その悲しみが忘れることのないよう、「いつまでも嘆いていたい」と神アポロンにお願いしました。
やがて、キュパリュッソスは悲しみのために血がかれて、その体はひからびて緑色になり、糸杉になったのです。ヨーロッパでは、この糸杉はよくみられます。ゴッホの『糸杉』は有名ですね。
【糸杉】(学名:Cupressus、英:Cypress)は、西洋ではきれいな円錐形になるため、クリスマスツリーに使われます。しかし、死の象徴でもあるため、墓地によく植えられています。イエス・キリストが磔にされた十字架は、この木で作られたという伝説もあります。
【花言葉】死・哀悼・絶望。死や喪の象徴とされています。文化や宗教との関係が深く、古代エジプトや古代ローマでは神聖な木として崇拝されていたほか、キプロス島(Kypros, 英: Cyprus)の語源になったとされています。(ウィキペディアより)