1話5分で読めるギリシャ神話

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ギリシャ神話ホームハーデース|【ミミズクに変身】アスカラポスとセイレーン

【ミミズクに変身】アスカラポスとセイレーン

(更新日:2021.08.28)

ペルセポネーにミミズクに変身させられる若者アスカラポス。
また、海の怪物セイレーンたちは、元ペルセポネーの女友達でした。
ゼウスの配慮で、ペルセポネーは半年は冥界で、半年は天界で暮らします。
(オウィディウス『変身物語』より)

アスカラポスをミミズクに変身させるペルセポネー
〈アスカラポスをミミズクに変身させるペルセポネー〉

ミミズクに変身させられるアスカラポス

大神ゼウスはデーメーテールが娘ペルセポネーを天界に連れ戻す条件をあげました。
「冥界の食べ物を口にしていない、という条件がある。これは運命女神のとりきめで、この大神ゼウスさえどうすることもできぬ」と、大神は言いました。

それでも豊饒の女神は、娘ペルセポネーを冥界から連れ戻すつもりでした。しかし、それはかなわぬことでした。すでにペルセポネーは、冥界のザクロの実7粒を食べていたのです。

それを見ていたのが、若者アスカラポスただ1人。冥界の名高い妖精オルプネと冥界の河神アケローンの子です。この若者がペルセポネーがザクロの実を食べていたのを告げ口したのです。

ペルセポネーが「火の河」の水をアスカラポスにふりかけると、クチバシ、羽毛が生じ、頭は大きくなり、目も丸く大きくなりました。
こうして、アスカラポスは不幸を予告する忌まわしいミミズクになったのです。

ミミズク

セイレーンたちは、元ペルセポネーの女友達

元来のセイレーンの姿

セイレーンたちは河神アケロオスの娘。絵画では、セイレーンは若い女性の姿で描かれていますが、元来は上の絵のように、顔だけが乙女で、羽があり、全身羽毛が生えていて、鳥の足をしています。

セイレーンたちはペルセポネーがハーデースに略奪されたときに一緒に河辺にいました。そして、その後は彼女たちも豊饒の女神デーメーテールと同じように地上を探し回ったのです。

しかし、セイレーンたちはもはやペルセポネーは地上にはいないと思い、今度は海を探すことにしました。そのために、波の上を飛べるように翼を願ったのです。神々はこの願いを聞き入れました。

すると、彼女たちの体には羽毛が生え、金色の翼も生えてきました。また、彼女たちは歌がうまかったので、乙女の顔と口は残されたのです。

そんなセイレーンたちが、なぜ海の怪物となったのかはわかりません。『オデュッセイア』第12歌で、彼女たちはオデュッセウスたちを誘惑します。

セイレーン(オデュッセイア)

1年を2つに分けるユピテルの配慮

大神ゼウスは冥王ハーデースと悲しみに沈んだ豊饒の女神デーメーテールの間を調停して、ペルセポネーが半年は冥界で、半年は天界で暮らせるようにしました。

こうして、デーメーテールとペルセポネーの母娘に明るさが戻ってきたのです。そして、世界はふたたび豊饒の女神の実りを受けられるようになりました。

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