1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。〈1話5分で読める聖書-アートバイブル

オルフェウスのその後[冥界の二人]

(更新日:2021.04.03)

冥界から現世に近づいた時、オルフェウスが振り返ったため、エウリディケーが冥界に戻ってしまったことはよく知られています。
でもその後オルフェウスが、どうなったかご存知ですか? あっと驚く結末です。
また、オルフェウスには幻想的な絵画が多く、代表的な絵画はここにあげたルドンとモロー。
ルドンにはモノクロの不気味な石版画が多いですが、ここにあげた〈オルフェウス〉は色彩豊かでとても優しさに溢れています。
モローの絵画は、まるでダ=ヴィンチのような雰囲気で描かれています。

オルフェウス
ルドン〈オルフェウス〉クリーブランド美術館

「さようなら、これが最後のお別れ...」

地上まであと10メートルもないところ。
オルフェウスとエウリディケーは、おたがいに手を伸ばしました。その手はもう触れあうことはありません。
彼は急いで引き返しましたが、黄泉の国スティクス河の渡し守カローンはその願いをきいてはくれません。

「なぜ、振り返ってしまったのか...」

オルフェウスは、7日間スティクス河のほとりで過ごしました。もう、食事も睡眠もとることはできません。
毎日、彼は冥界の無慈悲さを歌にし、竪琴の音にのせて唄いました。山々や生き物はみな涙を流します。

ところで、スティクス河の渡し守カローンは最初のときとは違い、どうしてオルフェウスを舟に乗せてはくれなかったのでしょうか?
じつは、冥界の王ハーデースに、カローンは耳に栓をしているよう命じられていたのです。

オルフェウスの首を運ぶトラキアの娘
モロー〈オルフェウスの首を運ぶトラキアの娘〉

トラキアの娘たちとディオニソス祭の日

そんなオルフェウスに、トラキアの娘たちは優しく声をかけてきました。
しかし、彼はエウリディケー以外の女には見向きもしません。娘たちにつれない態度をとっていました。娘たちも、しばらくは彼の仕打ちに我慢をしていました。
ディオニソス(酒)の祭りの日こと。酔った娘たちの我慢の限界が超え、とうとう興奮して叫びはじめました。

「あそこに、私たちを侮辱した男がいる!」

手にした槍をオルフェウスに投げつけました。が、彼の竪琴の音に、槍は彼の手前で落ちてしまいます。石を投げても同じです。

すると、娘たちはいっせいに大声を出して、竪琴の音を消してしまいました。その瞬間、槍はオルフェウスの胸を貫きます。さらに興奮した娘たちは、彼の体を八つ裂きにして、頭と竪琴をヘプロス河に投げ入れました。頭だけになっても、彼は唄っていたということです。

ムーサ(音楽の女神)たちは、オルフェウスの体を集め、レイペートラに葬ってやりました。それで、この地ではナイチンゲールがとても美しく鳴くのだそうです。
また、竪琴はゼウスによって天にあげられ、琴座となりました。

ところで、オルフェウスの魂はどうなったのでしょうか?

死んだ彼は黄泉の国に行き、もう振り返っても消えることのないエウリディケーと幸せに暮らしているということです。その二人の姿が、次の絵です。

冥府のオルフェウス
J=B.カミーユ・コロー〈冥府のオルフェウス〉

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