『オデュッセイア』に登場する怪物 ベスト3
(更新日:2021.10.28)
『オデュッセイア』の怪物たちは、地中海の怪物では定番です。
イアソーンの『アルゴー船の遠征』にも、ローマ建国の祖アイネイアースの物語にも出てきます。
スキュラとカリュブディスが住むところはメッシーナ海峡近辺。メッシーナ海峡は、ティレニア海とイオニア海ををむすんでいます。
一つ目巨人キュプロプス(ポリフェモス)
一つ目巨人ポリフェモスは、海神ポセイドーンの息子。オデュッセウスが、この巨人の一つ目をつぶしました。ポリフェモスが夕食のたびに、オデュッセウスの部下を2人ずつ食べてしまうからです。
結果、オデュッセウスはポリフェモスの父ポセイドーンの怒りをかいました。トロイア戦争後、イタケに帰るまでに10年の漂流生活をするはめになりました。最後に、女神アテーナの力で、ゼウスに許されたのです。
神の怒りには、人間の事情は考慮されません。「理不尽」ですが、それが神の掟です。
キュプロプスには、もう1つのギリシャ神話があります。
『アーキスとガラテイア』です。これは『オデュッセイア』とは関係がありません。キュプロプスがアーキスとガラテイアの関係に嫉妬して、アーキスを殺してしまうという話です。
【キュクロプス 前編】を読む
ニンフのように美しいセイレーンの怖さ
「船をここにつけ、私たちの蜜のような歌声をお聞き。聞かずして通り過ぎたものは誰もいないのだよ。聞いた者は心楽しく、知識も増して帰っていくのだ」
絵画では、セイレーンは美しい海のニンフのように描かれています。しかし、「美しいバラにはトゲがある」と言われるように、美しいバラ(女性)には気をつけましょう。
このセイレーンの歌・誘惑に勝ったのが、あのオルフェウス。イアソーンの『アルゴー船の遠征』の時のことです。
セイレーンの歌が聞こえだすと、オルフェウスは舳先に立って竪琴を奏でます。あまりに美しい竪琴の音色が、セイレーンの歌声を封じたのです。
【セイレーンの誘惑】を読む
スキュラとカリュブディス
スキュラは、もとは美しい乙女でした。彼女を愛したグラウコス。彼への魔女キルケの横恋慕のために、スキュラは怪物にされてしまったのです。
その時の彼女の戸惑いは、自身が怪物になっていくのがわからなかったほと。怪物になったスキュラは、一度に6人もの人間を食べてしまいます。
カリュブディスは、ポセイドーンとガイアの娘。並外れて大食だったためにゲーリュオーンの牛を盗んで食べてしまいました。ゼウスは罰を与え、彼を怪物にしました。
カリュブディスは、一日に3回食事をします。海水ごとあらゆるものを吸い込んでは、吐き出します。その時の渦が、船を巻き込んで難破させてしまうのです。
※スキュラとカリュブディスはすぐ近くの海に住んでいるので、いつも一緒に取りあげられます。
【スキュラとカリュブディス】を読む
【スキュラとグラウコス】を読む