シカになったアクタイオーン
仲間と狩りに来ていたアクタイオーン。今日の狩りの獲物は多かったので、少し休憩することにしました。
暑さをしのぐために冷たい泉を探しているうちに、いつしか彼は仲間ともはぐれてしまいましたが、静かで清らかな泉を見つけました。
しかし、そこは女神アルテミスの泉。おりわるく、女神はニンフたちと水浴していたのです。
「さぁ、できるなら、このアルテミスの裸を見たとふれまわるがよい!」
怒りで顔が赤く染った処女神アルテミス。若者アクタイオーンの運命は?
カエルになった農夫
アポローンとアルテミスの母、女神レートー。この二人の子供を産んだ時、彼女もヘラクレスの母アルクメネーと同じようにゼウスの妃ヘーラーに苦しめられ、世界をさまよっていました。
あるとき、レートーと子供たちが沼の水を飲もうとすると、農夫たちが邪魔をしました。
「どうか、この子供たちをかわいそうだと思ってください。ほら、ふたりとも可愛い手を差しのべています」
レートーは子供のために頼みました。しかし、農夫たちは水を飲めないように、足で沼の水を濁すのです。女神は怒り、両手を天に差しのべて叫びました。
「この者たちがけっしてこの沼を離れることなく、一生をここで送りますように!」
イタチになったガランティス
ヘラクレス誕生の時のことです。ヘラクレスの誕生を何としても遅らせたかったヘーラー。お産の神エイレイテュイアに、お産を遅らせるよう言い含めていたのです。
それに気づいたガランティス。お産の神に「奥様に祝福を! アルクメネー様は、たった今母になりました。立派なゼウス様のお子を産んだのです」とウソをいいました。
お産の女神は驚いて、お産を遅らせる呪いで組んでいた指を思わず離してしまったのです。その瞬間、ヘラクレスは誕生したのです。
それを見たガランティスは、女神を笑ってしまったのです。怒ったのは、お産の神エイレイテュイアです。
「小賢しい女は、小賢しい動物になってしまえ!」
→ヘラクレスの妻アルクメネーの侍女ガランティス、イタチになる
〈ヘラクレスの出産。奥にいる二人の右がガランティス〉