一つ目巨人キュクロプス(ポリフェモス)
キュクロプスの一人ポリフェモスは、海神ポセイドンの息子。この巨人の一つ目をつぶしたのがオデュッセウスです。
オデュッセウスはポリフェモスの父ポセイドンの怒りをかい、トロイア戦争後イタケに帰るまでに10年の漂流生活をするはめになりました。
神の怒りには、人間の事情は考慮されません。「理不尽」に考えられる時もありますが、それが神の掟です。
キュクロプスには、もう1つのギリシャ神話があります。『アーキスとガラテイア[純愛と試練]』です。
これは『オデュッセイア』とは関係がありませんが、キュクロプスがアーキスとガラテイアの関係に嫉妬して、アーキスを殺してしまうという話です。
セイレーンの怖さ
「船をここにつけ、私たちの蜜のような歌声をお聞き。聞かずして通り過ぎたものは誰もいないのだよ。聞いた者は心楽しく、知識も増して帰っていくのだ」
絵画では、セイレーンは美しい海のニンフのように描かれています。しかし、「美しいバラにはトゲがある」と言われるように、セイレーンたちの足元には、多くの人間の骨が積まれているのです。
このセイレーンの歌・誘惑に勝ったのが、あのオルフェウス。イアソンの『アルゴー船の大冒険』の時のことでした。
セイレーンの歌が聞こえだすと、オルフェウスは舳先に立って竪琴を奏でます。あまりに美しい竪琴の音色が、セイレーンの歌声を封じたのです。
スキュラとカリュブディス
スキュラは、もとは美しい乙女でした。
スキュラを愛したのがグラウコス。彼への魔女キルケの横恋慕のために、スキュラは怪物にされてしまったのです。
スキュラの戸惑いは、自身が怪物になっていくのがわからなかったほと。怪物になったスキュラは、一度に6人もの人間を食べてしまいます。
カリュブディスは、ポセイドンとガイアの娘。並外れて大食だったためにゲーリュオーンの牛を盗んで食べてしまいました。ゼウスは罰を与え、彼女を怪物にしました。
カリュブディスは、一日に3回食事をします。海水ごとあらゆるものを吸い込んでは、吐き出します。その時の渦が、船を巻き込んで難破させてしまうのです。
※スキュラとカリュブディスはすぐ近くに住んでいるので、いつも一緒に取りあげられます。