1話5分で読めるギリシャ神話

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豊穣の女神ケレス(デーメーテール)と山猫の話

(更新日:2018.11.30)

女神ケレス(ディーメーテール)と山猫
〈女神ケレス(ディーメーテール)と山猫〉

豊穣の女神ケレス、ゼウスに嘆願

豊穣の女神ケレス(デーメーテール)は、娘ペルセポネーの失踪の経緯をニンフのアレトゥーサに聞きました。女神は、ただちに龍の二輪車に乗りオリュンポスに向かいました。娘ペルセポネーをさらったのが、ユピテル(ゼウス)の兄プルートー(ハーデース)だったから、ゼウス嘆願に行ったのです。

ペルセポネーの略奪
アレトゥーサの告白

女神ケレスが娘ペルセポネーを探していた時、アテーナイで意気消沈しているところをある老人と娘に慰められました。老人の家には病気の若者がいました。女神はお礼にその若者の病気を治し、植物の種を与え、農業をおしえたのです。

トリプトレモスの種配り

オリュンポスについた女神ケレスは、その若者トリプトレモスに龍の二輪車の手綱をあずけ命じました。
「トリプトレモスよ、この種を荒れ地や休閑地にまきなさい」
トリプトレモスは、ただちにアジアとヨーロッパをめぐり、黒海北方の草原地帯スキュティアの国にやってきました。この国の王はリュンコスといいます。

リュンコス王に素性を尋ねられたトリプトレモスは答えます。
「私はアテーナイから来たトリプトレモスといいます。豊穣の女神ケレス様の使者です。女神の贈り物、これらの種を田畑にまけば、秋には実り豊かな食物が得られます」

リュンコス王の野望

これを聞いた蛮地のリュンコス王は、自分が諸々の種を扱えれば、周りの国を食物で支配できるとたくらみます。が、表面上はトリプトレモスを丁重にもてなすことにしました。

そして、トリプトレモスがぐっすり寝込んだところを、剣で刺し殺そうとしました。
あわや、剣が胸に刺さるかと思った瞬間、
豊穣の女神ケレスは、王を山猫(リュンコス)に変身させました。

山猫は、ラテン語でも英語でも「lynx」です。

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