1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。姉妹サイト〈1話5分で読める聖書-アートバイブル

ヒュアキントス - ヒアシンスの花

ヒュアキントスの死
G・B・ティエポロ〈ヒュアキントスの死〉ティッセン=ボルネミッサ美術館

アポローンのお気に入りの若者

アポローンは、ヒュアキントスという若者を非常にかわいがっておりました。漁に行くときは網を持ってやり、狩りにいくときは犬をひいてやり、山に行くときは供となり、運動をするときも一緒です。
そのため、彼のデルポイの神殿は留守になり、しばらくは竪琴も弓矢も持つことはなかったほどです。

ある日のこと、二人は円盤投げをしていました。
アポローンの投げた円盤を取ろうと、ヒュアキントスは急いで円盤に向かって走りました。

その時です、いつの世にも恋路の邪魔をするものはいます。

二人をねたんでいたゼフィロス(西風)が、円盤に強く息を吹きかけました。円盤は押し流され、ヒュアキントスの額を直撃。彼は血を流して、その場に転倒しました。

ビーナスの誕生よりゼフィロス
ボッチチェッリ〈ビーナスの誕生よりゼフィロス〉ウフィツィ美術館

アポローンの医術と薬草も効かず、花になる

アポローンはヒュアキントスに近づくと、自らの医術と薬草をもって、彼を助けようとしましたが、ユリの花が折れたように、彼はぐったりとその頭を下げています。彼は、最後にアポローンを見ようと顔を上げました。その目はうつろになって、頭はがっくり下にむき、死がもうすぐ訪れようとしています。

アポローンは、嘆きました。
「ヒュアキントスよ、お前は死んでいく。私は罪を犯したのだ。不死であることをやめて、一緒に冥界に行けたらいいのに。しかし、神であるがゆえ、それはかなわぬ。私の記憶と唄の中で一緒に暮らそう。竪琴の音でお前をたたえ、私はお前の運命を唄おう。そして、ヒュアキントスよ、お前を私の嘆きを記した花にしてあげよう」

その花の形はギリシャ語の「αι αι」(あぁ あぁ) になり、地面に落ちた血から深紅色のヒヤシンスの花が咲き出てきました。
そして、毎年春になると「ヒュアキントスの祭り」が祝われることになりました。

ヒヤシンスの花