1話5分で読めるギリシャ神話

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第十歌前編:オデュッセウスとディオメデスの侵入

ディオメデスとオデュッセウス
〈ディオメデスとオデュッセウス〉

(イリアス 第十歌 前編)

眠れぬギリシャ総大将アガメムノンと弟メネラオス

彼は、ヘクトルの猛威の前に心は震え、眠れぬ夜を過ごしていた。
「ネストルならば、今の危機を救う策を一緒に考えてくれるかもしれぬ」
彼は武装を整え、陣屋を出る。

同じく不安に取り憑かれていた弟メネラオス、
「この戦いはもともと妻ヘレネを奪還せんとトロイアに来て、それが今苦境に立たされている」
と、兄アガメムノンの陣屋にやってきた。その兄は今、陣屋の外に立っている。

「兄者、部下の誰かにトロイア軍の様子を探りに出すつもりか」
「メネラオスよ、どうやらゼウスは、ヘクトルの備えた生贄の方がお気に召したようだ。アイアスとイドメネウスを呼んできてくれ。わしは、ネストルを呼びに行く。あとで、警備の場所で落ち合おう」

アガメムノン、老ネストルのもとへ。

「わしだ。ゼウスの神意から、わしには安らかな眠りが降りてこぬ。わが軍の苦難が心から離れぬ。心の臓が飛び出し、震えが止まらぬのだ。お主もそうなら、一緒に警備の場所に来てもらいたい。いつトロイア軍が攻めてこぬとも限らぬ。見張りが眠りこけていては困るからな」

老ネストルはそれに答え、
「ゼウスがヘクトルの思い通りになさるはずがない。アキレウスが激しい怒りから気持ちを変えてくれれば、今度はヘクトルが多くの悩みから苦しむことになる。
喜んで、お伴しよう。オデュッセウス、ディオメデス、アイアス、イドメネウスらも起こそう。

ところで、メネラオスはどうした。彼こそ、一人ずつ訪ね、頭を下げて頼む労をとるべきであろう」
「メネラオスも眠ることができず、わしのところにやって来た。すでにアイアスとイドメネウスを呼びにやっている」
アガメムノンと老ネストルは、オデュッセウスとディオメデスの陣屋へむかった。
こうして、名だたる武将たちが、警備の場所に集まった。

オデュッセウスとディオメデスの侵入

老ネストルは、提案した。
「誰か、敵情視察に出てくれぬか。ヘクトルはじめトロイア勢が今後どんな計画を立てているか知りたいと思う」
ディオメデスが答えた。
「わしは、潜入したくて胸がうずく。しかし、一人では考えが狭く、行動の選択肢も少ない。誰か、わしと一緒に行ってくれないか」
オデュッセウスをはじめ、多くの武将が名乗りを上げた。
ディオメデスは、知略縦横のオデュッセウスを選んだ。

二人は武具に身を固めると、夜の闇に消えていった。女神アテナはアオサギを彼らの側に飛ばした。闇夜で鳥の姿が見えないが、その声だけは二人に聞こえる、二人は女神に祈った。

第十歌後編:トロイア方の偵察者ベロン】へ続く

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