1話5分で読めるギリシャ神話

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【第3歌】前編:テレマコス、老将ネストールを訪ねる。

【老将ネストール】トロイア戦争では、息子のアンティロコス、トラシュメデスとともにピュロスの軍勢70隻を率いて参戦。パリスの矢で馬を殺されて戦場で動けなくなり、メムノーンに殺されそうになります。ネストールは息子アンティロコスに助けを呼び、アンティロコスは父をかばって殺されます。

テレマコス、ピュロスとスパルタへ。
〈テレマコス、ピュロスとスパルタへ〉

(オデュッセイア 第3歌 前編)

テレマコス一行、ピュロスに到着

ピュロスの海岸では、ネストールの一族郎党がポセイドーンへの祭祀をしていました。参列者は9つの組に分かれ、1組は500人。その9つの組の前には、9頭の牡牛の捧げ物。臓物を取り出し、肉を焼いて食べているところでした。そこへ、メントスに姿を変えた女神アテネとテレマコスは向かいます。

女神アテネはテレマコスをさとします。
「テレマコスよ、ネストールはたいそう聡明な方であるから、遠慮は一切無用。聞きたいことを、まっすぐ聞くようにしなさい」
「でも、メントル殿、年上の方にものを尋ねるのは、どうも気が引けてなりません」
「大丈夫。神霊が知恵を授けてくださるだろう。そなたは神々の思し召しで育ってきたのだから」

アテネとテレマコスが宴席に近づくと、ネストールの息子ペイシストラトスが近づき、彼らを食事の席に着かせました。臓物を取り分けて、黄金の盃に酒を注ぎ、まずは年上のアテネことメントルに話しかけます。
「客人、あなたがたもポセイドーンをお祈りください。献酒と祈願を済ませましたら、私と同じくらい若いこちらの方にも祈願をさせてあげてください」
アテネがポセイドーンに祈りを捧げます。
次に、ペイシストラトスはテレマコスに盃を渡すと、彼は女神と同じように祈願しました。

パトロクロス葬式試合にてネストールとアキレウス(トロイア戦争時)
〈パトロクロス葬式試合にてネストールとアキレウス(トロイア戦争時)〉

テレマコス、ネストールに父オデュッセウスの消息を尋ねる。

その後、焼いた肉もたらふく食べ、主人であるネストールが口を開きます。
「さて、客人よ、あなた方はどこから来て、何をしに来たお方なのか、教えていただきたい」

それに答えたのはテレマコス。アテネは彼に勇気を吹き込んでやりました。
「ネーレウスが一子、誇り高きネストールよ。イタケからまいりました、堅忍不抜のオデュッセウスの息子テレマコスです。トロイア戦争後、無事に帰られた人々、帰れず無残な最期を遂げた人々のことは存じあげています。
しかし、我が父オデュッセウスの最後がわかりません。ひょっとして、ネストール殿はご存じないでしょうか。かつて、ネストール殿は父と共に戦った戦友でした。どうか、本当のことをお聞かせください」

トロイア陥落時、小アイアースはカッサンドラーを強姦

トロイア陥落時、女神アテネを激怒させた事件が起こりました。武将の小アイアースはトロイアの姫カッサンドラーをアテネの神殿で強姦したのです。このとき、彼女はアテネ像に抱きついていました。小アイアースはアテネ像もろともカッサンドラーを押し倒したと言われています。小アイアースの一行は帰国時、女神による嵐により難破。しかし、ポセイドーンにより助けられ、岩礁に上がることができました。小アイアースは「私は死なない。神の怒りは自分には及ばない」と公言。さすがに、ポセイドーンも怒り、三叉の矛を投げつけて岩礁を打ち砕き、彼は溺死しました。

カッサンドラーを凌辱する小アイアース
〈カッサンドラーを凌辱する小アイアース〉

総大将アガメムノンと弟メネラオスの争い

ネストールは、ギリシャ軍の中のいざこざを語り始めました。
「怒った女神アテネは、総大将アガメムノンと弟メネラオスの間に争いを起こした。
メネラオスは即刻帰国するよう提案。しかし、アガメムノンはアテネの怒りを鎮める祭事を行ってから帰国するつもりであった。だからと言って、アテネの怒りが静まるわけがなかったのだが。こうして、ギリシャ勢は二つに分かれた。

我らはメネラオスの意見に従った。テオドスの島に着くと、我らは神々に生贄をささげた。その後、どうしたわけか、そなたの父オデュッセウスと一部の者は、アガメムノンの元へ引き返していった。
しかし、我らはこのまま帰国の途についた。だから、オデュッセウス殿の生死やもどっていった武将の生死はよくわからぬ。我らは、トロイアを出て4日後にペロポネソス半島の東北部アルゴスに着いたというわけだ」

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