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デウカリオンとピュラー〈デウカリオンとピュラー〉

大洪水の後

パルナッソス山で生き残ったのはプロメテウスの息子デウカリオンとその妻ピュラーだけ。

ピュラーはあのパンドラとエピメテウス(プロメテウスの弟)の娘です。二人とも正直な人間であり、神々を敬っていたので、ゼウスもこの夫婦だけは殺すつもりはなかったのです。また、プロメテウスがバルナッソス山に避難するように教えていいました。

大洪水の水がひいてから、デウカリオンは言いました。
「私たち二人しか生きのびてはいないようだ。なんらかの使命があるのだろうか? この先、どうしたらよいのか? あそこに見える神殿に行って、神々に伺ってみることにしよう」

神託は「母の骨を背後に投げよ」

「目をおおい、衣を解きて神殿を去り、汝らの母の骨を背後に投げよ」

この神託を聞くと、二人はびっくりしました。特にピュラーは、青ざめて言いました。「このお告げに従うことはできません。母の遺体を汚すなど、私にはとうていできません」

二人は森の中へ入り、この神託の意味をあれこれ考えてみました。

石から、新しい種族が生まれる

やがて、デウカリオンは言いました。
「このお告げは、けっして間違ってはいないはずだ。つまり、大地こそが大いなる母であって、石はその骨なのだ。だから、石を背後に投げれば良いのではないだろうか。試してみようではないか」

二人は目隠しをし、衣を脱いで、石を拾い、背後に投げました。すると、石はどんどん柔らかくなり、むくむくと人の形になり、起き上がったではありませんか。

デウカリオンから投げられた石は男になり、ピュラーから投げられた石は女になりました。

デウカリオンとピュラー〈デウカリオンとピュラー〉