1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。姉妹サイト〈絵画で分かりやすい旧約聖書・新約聖書

アルゴー船の遠征 3

金羊毛の獲得
ド・トロワ〈金羊毛の獲得〉ナショナル・ギャラリー(ロンドン)

コルキス王アイエーテースのたくらみ

コルキスに着いたイアソーン一行は、コルキス王の宮殿を訪ねました。

イアソーンはアイエーテース王に挨拶をした後、来意を告げました。「夢枕に立って、プリクソスが告げるのです。金羊毛を故郷に持ち帰ってくれ」と。
王は応えました。「プリクソス様の意志ならば、そうしよう。だが、返すかわりに、野にいる暴れ牛をなだめてほしい。鋤(すき)をつけ、畑を耕し、種まきをお願いしたい。しかる後に、金羊毛のありかを教えよう」

イアソーンに一目惚れしたメーデイア姫

その日の夜、王は宴会を開き、ギリシャの人々をもてなしました。宴会を覗いていたメーデイア姫は、イアソーンに一目惚れしてしまいました。また、父が頼んだことを聞いて、その策略に気付き悲しくなりました。
〈あの牛をなだめられる訳がない、イアソーン様は殺されてしまう。私が助けてあげよう〉
彼女は優秀な魔女だったので、助ける方法も知っていたのです。

その夜、彼女はイアソーンのもとに、自分で調合した秘薬を持っていきました。
「実は、あの牛は神ヘーパイストスが作りました。鋼鉄の足を持ち、口から炎を吐きます。この薬を体中に塗ってください。焼かれずにすみます。また、種は竜の歯です。まけば、兵士が生えてきて、あなた様を襲います。その時は彼らの間に石を投げてください」

「どうして、私を助けてくださるのでしょうか?」
「あなた様のことを愛して...しまったから」
「では、私も姫に感謝し、永久の愛を誓いましょう」

メディアに対する永遠の愛を誓うイアソン
ド・トロワ〈メーデイアに対する永遠の愛を誓うイアソン〉ナショナル・ギャラリー

「イアソーンは焼き殺されてしまうぞ!」

次の日、コルキス中の人々が見にきていました。みんな、どうなるか知っているのです。
「まさか、こんな炎を吐く獰猛な牛とは!これでは、イアソーンはすぐに焼き殺されてしまうぞ!」ギリシャ勢は心配しました。しかし、イアソーンはメーデイアの薬を体中に塗っているので、平気な顔をしています。

牛はイアソーンを見ると、勢いよく突進してきました。が、イアソーンがさっとツノをつかむと、すぐに牛は大人しくなりました。ここにも女神ヘーラーの助けがあったのかも知れません。なんといっても、ヘーラーはヘーパイストスの母です。

竜の歯

イアソーンは、やすやすと牛に鋤をつけ畑を耕すと、種(竜の歯)をまきました。すると、鎧を着たたくさんの兵士が生えてきて、イアソーンに向かってきます。
「イアソーンが殺されてしまう!」ギリシャ勢は武器を持って駆けつけようとしました。アイエーテース王は、ほくそ笑んでいます。

その時です。イアソーンはメーデイアに教わったように彼らの中に石を投げ入れました。

「誰だ!石をなげたのは、お前か?」
「誰だ!石をなげたのは、お前か?」
「誰だ!石をなげたのは、お前か?」
兵士達は互いに言い合い、殺し合いが始まりました。

そして、最後に残った一人の兵士が、イアソーンに向かってきます。イアソーンは、簡単にこの兵士を倒してしまいました。コルキス王のもくろみは外れ、仕方なくイアソーンに金羊毛の隠し場所を教えました。胸の中では、〈くそ〜、竜に食われてしまえ!〉と叫んでいました。

金羊毛の獲得と逃亡

その日の夜、イアソーンはアルゴナウタイにアルゴー船の出発の準備をするように言い、数人の兵士を連れて森の中に入っていきました。メーデイアも一緒です。

金羊毛のかかっている木の下に、恐ろしい竜がいます。これでは、金羊毛を取ることはできません。すると、メーデイアが竜に近づき、頭をなでると、竜は大人しくなりました。薬を飲ませると、竜はウトウトしはじめ、ついに眠ってしまいました。

こうして、金羊毛を手にすることができたイアソーンはアルゴー船に戻り、急いで出発しました。コルキス王が、みすみす金羊毛を手放すはずがないからです。

アルゴー船の遠征4▶