1話5分で読めるギリシャ神話

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ケファロスとプロクリス

アウロラとケファロス
フピエール=ナルシス・ゲラン〈エーオースとケファロス〉

女神エーオースの予言
曙の女神エーオースは、朝早く狩りに出ている若者に恋をし連れ去りました。この女神は恋心がうずくと、止めることができないのです。今度の恋の相手はケファロスです。

彼は新婚で、その美しい妻の名はプロクリス。女神アルテミスのお気に入りの処女でした。アルテミスは彼女に足の速い犬ライラプスと、絶対に的をはずさないという槍を与えました。

妻を愛していたケファロスは女神エーオースを拒否し、怒った女神は予言しました。
「なら、戻るがいい。だか、戻ったことが後悔をうむことになるであろう」

いたずらキツネと足の速い犬ライラプス
ある日のこと。腹の虫が暴れた神が、いたずらキツネを野に放ちました。そこで、村人はケファロスの腕を見込んで、キツネ退治を頼みました。

ケファロスはキツネを見つけると、ライラプスを放ちました。犬は風のようにキツネを追いかけます。しかし、神のキツネです。ライラプスをしても捕まえることができません。二匹とも、もの凄い早さで追いかけっこをしています。

いらだったケファロスは、的を外さぬ槍を投げようとしました。その時です。二匹とも素晴しい動きのまま止まったかと思った瞬間、石に変えられてしまいました。神が二匹の走る姿に感動して、石として残したのです。

ケファロスとプロクリス
フラゴナール〈ケファロスとプロクリス〉アンジェ美術館

ケファロスの浮気?
また、いつものようにケファロスは狩りに出かけました。夕方になると泉のそばの草むらで服を脱ぎ、仰向けに寝転びました。
「さあおいで、甘いアウラー(そよ風)よ。この熱くほてった胸をさましておくれ」
悪いことに、通りかかった村人がその声を聞き、プロクリスに伝えてしまいました。

「夫が、けっして浮気するはずがない」
プロクリスは信じていましたが、次の日こっそり泉のそばの茂みに隠れることにしました。そこへいつものように狩りを終えたケファロスがやってきて、服を脱ぎ、仰向けに寝転びました。
「さあおいで、甘いアウラー(そよ風)よ。この熱くほてった胸をさましておくれ。私の愛がどれほど深いか知っているだろう」

プロクリスの死
その声を聞いたプロクリスは、うめくような声を出してしまいました。ケファロスはその声を野獣と勘違いして、槍を茂みに投げてしまったのです。
「ウギャ〜」
彼はその叫び声が誰であるかすぐ気づき、駆けつけました。彼女は血を流しながらも、槍を抜こうとしていました。

「あなた、私を愛しているのなら、決してその憎らしいアウラーとは再婚なさらないで!」
もう手遅れですが、急いでケファロスは説明しました。プロクリスは彼の顔を憐れむような、許すような目をしながら見つめていました。その顔は、また安堵した顔でもありました。

この結果を、曙の女神エーオースはどのように思ったことでしょうか?
「そら、みたことか」との言い伝えはありません。
また、ケファロスに再度アタックしたこともなかったようです。

曙の女神エーオース