【花の神話】アネモネの花になったアドニス
(更新日:2021.02.15)
恋は、老いも若きも関係なく、人を盲目にさせます。
また最近では、10歳以上も離れた若い夫を持つ女性(キャリアウーマン)も増えてきました。考えるに、稼げる夫婦のどちらかが男女問わず家計を支えればいいのでしょう。働く女性、大歓迎です。
愛の女神アフロディーテが乙女に!
アフロディーテ(ヴィーナス)と息子エロースが遊んでいる時、エロースの矢がアフロディーテの胸をキズつけてしまいました。
アフロディーテのキズがいえる前に、女神が初めて見たのが若者アドニス。
アフロディーテは、たちまち恋のとりこになってしまいました。
アフロディーテは、女神を祭っているパポスの町、クニドスの島、アマトゥースにも行かず、またオリュンポス山にも行かず、ただひたすらアドニスと一緒にいました。
狩りをしたり、山野を駆け回っている女神は、まるで狩りの女神アルテミスのようです。
木陰で休んでいたり、自分の美しさばかりを気にかけていた頃とは全く違うアフロディーテ。
女神は、恋する乙女になってしまったのです。
「襲ってくるオオカミ、クマやイノシシなどには
近づかないようにしてね。
決して自分の勇気を試したり、
思い上がってはいけませんよ」
アドニスにそう諭してから、アフロディーテは白鳥の二輪馬車で久しぶりにキプロス島に向かいました。
しかし、若者は人の忠告は聞きません
犬たちが大きなイノシシを洞穴から追い出すと、アドニスは槍を投げつけました。槍は見事にイノシシの脇腹に命中。
しかし、大イノシシはこのキズごときでは倒れません。猛然とアドニスに向かって駆けてきます。
逃げ出すアドニス。
しかし、イノシシの速さはアドニスよりはるかに速く、その牙がアドニスの脇腹を突き刺しました。
「ウギャー!」
アドニスの声を聞いた天空のアフロディーテ
アフロディーテは白鳥の二輪車の向きをアドニスの声がした場所に向けると、大急ぎで戻ってきました。
息絶えようとしているアドニス。
女神はアドニスを抱きかかえ、自分の胸元をたたき、髪をかきむしりながら叫びました。
「運命の女神よ、
全てが、あなたたちに屈するわけではない。
アドニスは永遠に私の悲しみの思い出となり、
毎年彼のために祭が開かれ、
その死にざまは繰り返し舞台で演じられるであろう」
アフロディーテが神酒ネクターをアドニスの流れた血に注ぐと、血は泡立ち、やがて真っ赤な花が現れました。
しかし、この花の命は短いのです。
風(アネモス)が花を咲かせたかと思うと、次の風が花を散らせるのです。
それで、「風の花(アネモネ)」と名付けられました。
このイノシシは、一説にはアフロディーテの情夫・軍神アレスであったとの説もあります。
アレスの嫉妬がアドニスを殺したのだと......