〈タイタンの墜落〉
カオスから最初に生まれた大地女神ガイア
ガイアは一人で天空ウラノス、山々、海を生み出しました。自分の子ウラノスとの間にタイタン神族と呼ばれるクロノス、レア、オケアノスなど男女12柱を生み、その後、ガイアは2組の3つ子も生みました。1つ目巨人キュクロプス3人、50の頭と100本の手を持つヘカトンケイル(百手)3人です。
しかし、ウラノスは、キュクロプスとヘカトンケイルの醜さを嫌い、縛り上げ、地底に閉じ込めてしまいました。この仕打ちに、母ガイアは憤慨。アダマスという固い金属を生むと、それを刃にした鎌を作り、タイタンにウラノスに復讐することを命じました。そこで名乗りを上げたのが、末弟でも知恵と力のあるクロノスです。
ウラノスの失墜とクロノスの台頭
いつものように、ウラノスがやってきて、ガイアを抱こうとした時、ガイアの背後から突如現れたクロノスは、父ウラノスの性器を鎌で刈り取りました。この男根を海に投げ入れたところから泡立ち、あの女神アフロディテが誕生したのです。
ウラノスは子を作る能力を失い失墜し、クロノスが天地を支配することになりました。
ウラノス「レアから生まれた子に、支配権を奪われるだろう」
クロノスは、同じタイタン神族の姉レアと結婚し、女神ヘスティア、デメテル、ヘラ、男神ハデス、ポセイドンを生みました。しかし、クロノスはウラノスの予言から、生まれた我が子を次々に飲み込んでしまいました。
悲しんだレアは、新たに身ごもった子だけは助けたいと願い、母ガイアの助言を得てクレタ島で密かに出産しました。この子を洞くつに隠すと、石を産着でくるみ、クロノスに渡しました。石を受け取ると、クロノスはすぐ飲み込んでしまいました。この時クレタ島で生まれたのが、ゼウスです。
ティタノマキア10年戦争
ゼウスは成長すると、クロノスに飲み込まれた兄と姉たちを助け出すことを決意し、知恵の女神メティスに助力を求めました。メティスはクロノスに吐き薬を飲ませると、最初に産着でくるまれた石を吐き出し、次々にゼウスの兄と姉たちを吐き出しました。
兄と姉たちを助け出すと、ゼウスたちはオリュンポス山に布陣し、オトリュス山に布陣したタイタン神族に戦いを挑みました。「ティタノマキア」と言われた戦いで、10年間も続きます。
実力が伯仲している時、ガイアがゼウスに助言しました。
「ウラノスが地中深く閉じ込めた、キュクロプスとヘカトンケイルを助け出し、味方につけるがよい」
解放されたキュクロプスは、ゼウスには万物を破壊し燃やしつくす雷霆、ポセイドンには大海と大陸を支配する三叉の矛、ハデスには姿を見えなくする隠れ帽を提供しました。ヘカトンケイルは、その怪力で巨岩を100本の手で投げつけました。
さらに、タイタン神族はデウスの雷で目をやられ、巨岩に押し潰され、ついに白旗を上げたのです。
ゼウス、神々の王に
ティタノマキアを制した後、クジ引きで、ゼウスが天界、ポセイドンが海、ハデスが冥界を支配することになりました。天界(全宇宙)を支配するゼウスが、こうして神々の王になったのです。
ところで、敗れたタイタン神族は、地底の暗黒界タルタロスに封じ込められました。中でもゼウスたちを最後まで苦しめたイアペトスの息子アトラスは、天球を支える過酷な刑を受けることになりました。
この後、【ギガントマキア】オリュンポスの神々vs巨人族が起こります。