魔女の神話 ベスト3

天真爛漫で、自分勝手な魔女メーデイア

メーデイアはいい意味でも悪い意味でも、純粋です。イアソーンに一目惚れし、父親に反しても黄金の羊の皮を取る手助けをし、イアソーンと一緒に逃げました。この時、弟も連れて行きます。
しかし、父の追っ手が近づいてくると、メーデイアは弟を殺し切り刻んで海に捨てます。追っ手が弟のバラバラな体を集める時間を作り、その間に逃げようとしたのです。殺した弟への悲しみの感情など、いっさいありません。
しかし、このことがイアソーンと周りの人間には、不気味に思われてしまいます。
その後、イアソーンに裏切られてしまいます。そして、メーデイアはイアソーンとの間の二人の子供を殺して逃げます。逃げた先アテナイでアイゲウス王と結婚。そこへ他国で成人した王のテーセウスが戻ってくると、自分にとって都合が悪いとテーセウスを殺そうとします。
このように、メーデイアは自分の身勝手さで平気で人を殺します。
アルゴー船の遠征 4 イアソーンの復讐とメーデイアの逃亡】を読む
イアソーンとメーディア
〈メーディアに永遠の愛を誓うイアソン〉

魔女キルケには抱かれたい?

「悪女の深情け」という言葉はありますが、「魔女の深情け」という言葉はありません! 魔女キルケは情の深い魔女ですが。女神アテーナに止めろと言われるまで、オデュッセウスの世話をし、子供も作っています。
また、魔女であるから、自然の理も、死後の世界もよく理解しています。オデュッセウスが冥界で預言者テイレシアスから助言を得られるよう計らい、その手順まで詳しく教えます。
なぜ魔女キルケは、これほどまでにオデュッセウスを助けたのでしょうか?
恋です。彼女を負かした唯一の人がオデュッセウスだったからです。でも、オデュッセウスはあらかじめヘルメースに、魔女キルケを負かす方法を教わっていたのです。彼女ほど知見がある魔女には、わかっていたはずですが...?
きっと、英雄でありながらも部下思いと人前でもハラハラ泣くオデュッセウスの性格を愛おしく思ったのだと思います。
魔女キルケ】を読む
魔女キルケ
ジョン・W・ウォーターハウス〈魔女キルケ〉

人間の運命の糸はモイライの手に

運命の3女神モイライ。モイラとは「割り当て」という意味で一人称。複数形が「モイライ」です。
運命の3女神モイライは上から、
クロトー
「紡ぐ者」運命の糸を誕生からつむぎ出す
ラケシス
「運命の図柄を描く者」糸の長さや太さを
アトロポス
「不可避のもの」最後に糸を断ち切る(死)
運命の3女神が魔女という範疇に入るかどうかは疑問ですが、絵画に描かれた彼女たちは魔女そのものです。一般的にも、運命の女神は、死の恐怖などからとても人気があります。また、人は運命をとても気にかけ、占いに人気があります。
あの大神ゼウスだって、彼女らには一目置いています。ギガントマキアの戦いで、ゼウスは唯一の敗北をした時、彼女たちに助けられていますから。
運命の3女神モイライ】を読む
運命の女神アトロポス
フランシスコ・デ・ゴヤ〈運命の女神アトロポス〉