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求婚者の誅殺パリエール〈求婚者の誅殺〉

アンティノウスとエウリュマコスの最後

オデュッセウスは弓に壊れたところがないか十分に見定めます。そして、やすやすと弓に弦を張り、いとも簡単に12の斧の穴を射通したのです。いよいよ求婚者たちの誅殺が始まります。求婚者たちも、オデュッセウスに気づきます。

オデュッセウスは求婚者の筆頭の一人アンティノウスの咽喉に矢を放ちました。矢はのどを射抜くと、彼はぐらりと体が傾き、持っていた杯を落としました。

オデュッセウスは、エウリュマコスに言い放ちます。
「エウリュマコスよ、もはや貴様らは戦うか、逃げるしかないのだ」

「各々方、今や我ら一団となって、オデュッセウスに立ち向かおうではないか。誰でも良い、この危急を外の者に知らせよ」
こう言うと、エウリュマコスは両刃の剣を抜き出しました。凄まじい声を張り上げ、オデュッセウスに躍りかかります。

オデュッセウスが素早く矢を放つと、エウリュマコスの胸を貫きます。彼は食卓の上につっぷしました。料理や酒杯などが、床に散乱します。
アンピノモスは唯一の逃げ道である戸口からオデュッセウスを離すべく、剣を抜いて躍りかかりました。が、テレマコスがその背後から槍を投げます。槍はアンピノモスの背中から胸に突き刺さり、顔から床に倒れます。

その後、兜と盾、武器を倉から持ってきたテレマコスと豚飼いと牛飼い。三人は武具に身をまとい、オデュッセウスのかたわらに駆けつけます。

オデュッセウスは矢の続く限り、求婚者たちをつぎつぎと射殺していきます。矢がつきると弓を置き、今度は二本の槍を手に取りました。

求婚者の誅殺パリエール〈求婚者の誅殺〉

求婚者たちの反抗

求婚者の一人アゲラオスが叫びます。
「誰か、町の者たちに一刻も早く危急を伝えよ!」

「それは無理なこと。それよりもあなた方が武装できるよう、私が倉に行って武具を持ってきましょう」
性悪な山羊飼いメランティオスはそう答えると、広間の風穴から抜け出しました。倉に入ると、武具を持ってきて、求婚者たちに渡します。彼らは武装しはじめました。

求婚者はまだまだ多く残っていたので、さすがのオデュッセウスも少したじろきます。その時、テレマコスは叫びました。
「倉に鍵をかけなかったのは、私の手落ち。エウマイオスよ、誰が倉に入ったのか、調べてくれ」

そうこうしているうちに、性悪な山羊飼いメランティオスは再び倉に向います。豚飼いと牛飼いは、彼が倉に入ったところで捕らえ、宙吊りに縛り上げました。その後、二人はオデュッセウスのもとに戻ります。