※本ページにはプロモーションが含まれています。

求婚者の誅殺(モロー)モロー〈求婚者の誅殺〉

女神アテナの鼓舞

女神アテナはオデュッセウスと同年代のメントルに姿を変え、オデュッセウスに歩み寄ります。

オデュッセウスはメントルが女神だと察し、声をかけます。
「メントルよ、わしに力を貸してくれ!」

「オデュッセウスよ、そなたにはもうトロイア戦争の時の気概も力も残っていないのか」
女神はそう言うと、姿を隠しました。女神の意図は、オデュッセウスを鼓舞することでした。

アゲラオスはじめ求婚者一同は
「各々方よ、まず6名が槍をオデュッセウスに投げよ!」
一同は槍をオデュッセウスに投げます。

しかし、女神はすべての槍を逸らしました。オデュッセウスらも、槍を投げて応戦します。こうして、求婚者たちは次々と倒されていきます。

牛飼いは、クテシッポスの胸に槍を命中させると叫びます。
「クテシッポスよ、この一撃はオデュッセウス王に投げつけた牛の足のお返しだ!」

生き残ったのは二人だけ!

求婚者の一人レオデスは、オデュッセウスに嘆願しました。
「オデュッセウスよ、あなたの膝にすがってお願いする。私は屋敷の女には手を出していない。皆にも、そうせぬよう止めていた。

しかし、わしの言葉に誰も従わなかったのだ。彼らの中で、わしは占いの役を務め、悪事は何も犯していない。が、同じく死ぬことになるのであろう」

「占いの役を務めていたのなら、わしの帰国はわかっていたはず。わしが帰国せぬよう、ぺネロペイアが貴様の子を産むよう願っていたのであろう」
オデュッセウスは一刀のもとに、彼の首をはねました。

女神アテナもアイギスを掲げると、求婚者たちは恐怖に駆られ、右往左往します。そこをついて、オデュッセウスたちは求婚者たちを殺していきました。

生き残ったのは、テレマコスがオデュッセウスに助命を嘆願した楽人ペミオスと伝令使メドンだけです。

不義を働いた女中も誅殺

女中を罰するオデュッセウスモンシアウ〈女中を罰するオデュッセウス〉

オデュッセウスは老女エウリュクレイアに不義を働いた女中の名を確かめると、テレマコス、豚飼い、牛飼いに首吊り刑を命じました。

性悪な山羊飼いメランティオスは鼻と耳を切り落とされ、陰部をむしり取られ、手足も切断されました。

最後に、オデュッセウスは老女エウリュクレイアに言いました。
「婆やよ、硫黄と火を持ってきてくれ。屋敷を清めようと思う。それから、ペネロペイアと女中たちにここへ来るよう伝えてくれ」

こうして、求婚者誅殺の日は終ろうとしていました。