ギリシャ神話には、時を超えて語り継がれる純愛の物語が数多く存在します。
その中には、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の原型となった悲恋や、神々の試練を乗り越えた愛の物語も含まれています。
本記事では、特に有名な「ピューラモスとティスベー」「エロスとプシュケー」「ヘーローとレアンドロス」の3つの物語を紹介します。
純愛ゆえに迎えた切ない結末や、運命に翻弄されながらも愛を貫いた恋人たちの姿に、きっと心を打たれることでしょう。
ピューラモスとティスベー
『ロミオとジュリエット』の原型になったギリシャ神話です。
ピューラモスとティスベーは隣同士。親に反対されていた二人は、家の間の壁の割れ目から愛を囁いていました。
ある日、二人は国はずれの白い桑の木がある泉で待ち合わせることにしました。
ヴェールで顔を隠したティスベーは、ピューラモスより先に到着しました。すると、口を血で真っ赤に染めた牝ライオンが現れます。
驚いたティスベーは慌てて逃げ出します。その際、ヴェールを落としてしまいました。ライオンはヴェールを引き裂きながら、血を付けてしまいます。
後からやってきたピューラモスは、血で染まったヴェールを見つけ、「私の血もこのヴェールにしみ込ませよう。せめて血だけでも一緒になろう」と言い、剣を胸に突き立てました。
>>ピューラモスとティスベー〜ロミオとジュリエットの原型になった物語
エロスとプシュケー
「愛は疑いと共存できない!」—— そんな名言が残るギリシャ神話です。
女神アフロディテは、プシュケーの美しさのせいで、自分の神殿を訪れる人が減ったことを嘆き、息子エロスに命じました。
「あの生意気なプシュケーに、不細工な男を恋するよう仕向けておくれ」
母の命令に従い、エロスはプシュケーの寝室に忍び込み、苦い泉の水を飲ませようとします。しかし、彼女の美しさに心を奪われ、誤って自分に愛の矢を刺してしまいました。
これが、二人の恋の始まりでした。
「私が君の夫だが、決して私の姿を見てはならない」とエロス。
しかし、「見てはいけない」と言われると、かえって見たくなるもの。ましてや、姉たちから「おかしい! お前の夫は怪物ではないか?」と言われれば、なおさら見たくなるのも無理はありません。
ヘーローとレアンドロス
若者の恋は時に無謀で、悲劇を招くことがあります。
ヘーローとレアンドロスもまた、運命に翻弄された恋人たちでした。
ヘーローは女神アフロディテの神殿に仕える神官であったため、恋愛は禁じられていました。しかし、レアンドロスは「アフロディテ様は許してくださる。何といっても愛の女神なのだから」と説得。
昼間は人目があるため、レアンドロスは夜になると、ヘーローが灯す火を目印に、暗闇の海を泳いで彼女に会いに行きました。
春や夏の穏やかな海ならば問題はありませんでした。しかし、ある冬の嵐の夜——。
ギリシャ神話の純愛BEST3[まとめ]
ギリシャ神話には、時代を超えて語り継がれる純愛の物語が数多く存在します。「ピューラモスとティスベー」では、禁じられた愛を貫いた末に悲劇が訪れました。「エロスとプシュケー」は、愛と信頼の大切さを教えてくれる物語です。「ヘーローとレアンドロス」は、恋のために命を懸けた若者の情熱を描いています。
どの物語も、愛する人のためにどこまで自分を犠牲にできるか、運命にどう立ち向かうかを問うものです。悲しい結末を迎えた恋もありますが、その純粋な愛は時代を超えて語り継がれています。ギリシャ神話の純愛物語を知ることで、現代の私たちの恋愛観にも新たな視点が生まれるかもしれません。