※本ページにはプロモーションが含まれています。

メドゥーサの頭部ルーベンス〈メドゥーサの頭部〉

セリポス島の王ポリュデクテスのダナエーへの邪恋

父王アクリシオスによって、海へと流されたダナエーとペルセウス。セリポス島に漂着し、島の王の弟、漁師のディクテュスに助けられました。

ペルセウスが青年になるまでは、しばらく平穏に暮らしていました。

しかし、新たな災いが母ダナエーに降りかかります。その美しさに島の王ポリュデクテスが、言い寄ってきたのです。ペルセウスは、なんとか母親を守ろうとしていました。

ポリュデクテス王は、ここでペルセウスを殺す計画を立てます。島を荒らしているメドゥーサを退治するよう、ペルセウスに命じたのです。

メドゥーサ(女王)は3姉妹

海の神(怪物)である兄ポルキュスは、妹のケートーと結婚しました。その子であるメドゥーサ(女王)には、姉にステンノー(強い女)、エウリュアレー(広くさまよう、あるいは遠くに飛ぶ女)がいました。

また、3老女のグライアイは姉妹です。だから、ペルセウスは3姉妹のところを先に訪ねたのです。彼は3人で共用していた1つの目を奪い、強引にメドゥーサの居所を教えさせたのです。

メドゥーサマルチェフスキ〈メドゥーサ〉

女神アテーナと美しさを競ったメドゥーサ

メドゥーサは、もとは美しい乙女でした。特にその髪をとても自慢にしていました。人間によくある「おごり」が、彼女を女神アテーナと美しさを競わせたのです。

とうぜん怒った女神はメドゥーサの美貌を取り上げ、彼女の自慢の髪はシューシューと音をたてる蛇に変えてしまったのです。また、ポセイドーンがメドゥーサと交わった場所が女神アテーナの神殿であったことも、彼女が怪物にされた理由でした。

女神アテーナの怒りは凄まじく、彼女の二人の姉も一緒に怪物ゴルゴンに変えてしまいました。その目を見たものは石になってしまうという恐ろしい怪物です。

ただし、怒りの原因になったメドゥーサのみが死すべき運命で、2人の姉は不死でした。不死とはいえ、怪物です。メドゥーサ死後、2人の姉はどんな思いで生きているのでしょうか。

メドゥーサの血からペガサスが誕生

ペルセウスは父ゼウスの計らいもあって、ヘルメースから空飛ぶサンダル、アテーナから鏡のような輝く盾を借りうけ、メドゥーサの住処へと向かいます。

彼は眠っているメドゥーサに忍び寄り、輝く楯に映った彼女の姿を見ながら、その首を切り落としたのです。その首は「キビシス」という特別な袋に入れて持ち帰りました。

この時、天馬ペガサスとポセイドーンの子クリューサーオールが生まれました。ペガサスは、メドゥーサのもとの美しい乙女の化身でしょうか? やがて、ペルセウスはその首を女神アテーナに捧げると、女神はアイギスの楯の中央にはめこみました。

殺されたメドゥーサの2人の姉

ヘシオドス作『ヘレクレスの楯』
この本はヘシオドス作ではないらしいですが、『イリアス』のアキレウスの楯をまねして書かれたものです。

 

楯の表にはまた、髪麗しいダナエーの子、勇者ペルセウスがいたが、その足は楯に触れるでもなく、浮き離れるでもない。どこにも支えを持たぬ、まことに言うも驚きの業だ。むべなり、これこそ名も高き鍛冶の神ペパイストス(アキレウスの楯も同じ)が、黄金もて造ったもの。

両足には翼あるサンダルを履き、肩には、黒革を巻いた剣が、青銅の剣帯で吊り下げられ、彼は思考の如く飛期する。背中一面にかぶさるのは、怖るべき怪物、ゴルゴーン(メドゥーサの頭)。収める銀の革袋(キビシス)が翔る様は、見るも驚きの業。黄金の房飾りがキラキラと垂れ下がり、怖るべき冥王(ハデス)の隠れ兜が、不気味な夜の闇を蔵して、勇士のこめかみに乗っている。

ダナエーの子ペルセウスその人は、おののき慌てふためく者の如く、全速で走る。近づきがたく、名状しがたいゴルゴーンたち(2人の姉)が、彼を掴まえんものと追いすがる。蒼白い不壊金剛の表面で彼女らが動くと、楯は鋭く高く、轟々の響きを上げる。

その帯にはニ匹の蛇が、鎌首をもたげて垂れ下っている。蛇どもはチロチロと舌を動かし、凄まじい形相で、力まかせに牙を研ぐ。ゴルゴーンたちの怖るべき頭の上で、大恐慌が湧き上がる。

「おののき慌てふためく」ペルセウスは、なんとか2人の姉から逃げたようです。なぜ逃げられたかというと、『怖るべき冥王の隠れ兜』を被っていたからです。この兜を被ったものは、透明人間になります。

『ヘレクレスの楯』によると、ペルセウスは普通の人間だったということがわかりますね。

メドゥーサの頭部カラヴァッジオ〈メドゥーサ〉