ティツィアーノ〈ペルセウスの母ダナエー〉
英雄ペルセウスの母ダナエー
「娘から生まれる子に殺される」
と、神託を受けたダナエーの父アルゴス王アクリシオス。
当時のギリシャ人にとって、神託は無視することはできません。そこで、アクリシオス王は、娘ダナエーを王宮の地下に青銅の牢を作り閉じ込めました。
そんなダナエーのまばゆいばかりの美しさを知って、またゼウスの浮気心がうずいたのです。
全能の神ゼウスが地下牢に入るのはたやすいはずなのですが、今回は変わった形となって、ダナエーに近づきました。
ダナエーに降り注ぐ黄金の雫になったゼウス
ゼウスは地下牢の天井の隙間から、雫(しずく)に変身してダナエーに降り注いだのです。
こうして生まれたのが、英雄ペルセウスです。
地下牢から赤ん坊の泣き声が聞こえてくると、父アクリシオス王はびっくりしました。しかも、赤ん坊の父親がゼウスというではありませんか。
「私は、このゼウスの子に殺されるのか!」
恐ろしさのあまり、アクリシオス王はダナエーと赤ん坊を木の箱に入れ、大海へと投げ捨てさせたのです。
やがて、木の箱はセリポス島へ漂着。
ここから、ペルセウスとゴルゴンの一人メドゥーサのエピソードが始まります。