1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。〈アートバイブル〉も、絵画でわかりやすい聖書です。

オイディプス王 後編

(王妃イオカステ登場)
そこに、コリントスからの使者がやってきました。
コリントスの使者
「オイディプス王はどちらにいらっしゃいますか?」
王妃イオカステ
「よそのお方、ここが王のお館、私がその妃です」
コリントスの使者
「お妃様、王様に良い知らせと悪い知らせがございます」
王妃イオカステ
「どうして二つの効き目があるのでしょうか?」
コリントスの使者
「コリントスのポリュボス王がお亡くなりになり、オイディプス王をコリントスの王に迎えたいとのことでございます」
王妃イオカステ
「おお、それでは王様はもう父親殺しを恐れなくて良いのですね、だれか、王様を呼んでまいれ」

(オイディプス王、登場)
オイディプス王
「なに、父上が亡くなった、と」
王妃イオカステ
「神託など、もうお気におかけあそばすな」
オイディプス王
「でも、まだ母上がおられる以上帰ることはできない」

その後、コリントスの使者は、父殺しの神託をオイディプス王から詳しく聞くと
使者
「心配にはおよびません。王様は、コリントス王のお子様ではありません。ある羊飼いから私がもらい受けたのです」
オイディプス王
「なんと!その時のおれはどんな目にあっていた?」
使者
「王様のお御足のくるぶしが貫かれていましたので、抜いて差し上げました」
オイディプス王
「いかにも、赤子の頃に受けた恐ろしい恥辱の印!」
使者
「そのことから、腫れた足を持てる=オイディプスとの王様の名が付いたのでございます」
オイディプス王
「して、おれをくれた羊飼いとは何者であったか!?」
使者
「ライオス王の牧場番の羊飼いです」
オイディプス王
「なに、ライオス王の家の召使いからだと?」

王妃イオカステ
「あぁ〜、なんという運命!」
突然、王妃イオカステは叫びました。
王妃イオカステ
「お願いです。お命が大切なら、もう、これ以上この詮議はお止めください!
私の苦しみだけでたくさんです。おお、不幸なお方。ご自分の素性をけっしてお知りになりませんように」
(王妃イオカステ、館に走り去る)

(王妃の召使いに引き立てられて、老いた羊飼い登場)
コリントスの使者
「確かにそこのご老人から、私がもらい受けたのです」
オイディプス王(老いた羊飼いにむかって)
「それは真か?はっきり申せ」
羊飼い
「いえ、忘れてしまいました」
オイディプス王
「思い出せ。さもないと罰するぞ!」
羊飼い
「いや、いや、この年寄りをむごい目にあわせないでください」
オイディプス王
「ええい、このものを捉え、罰せよ」
羊飼い
「なら、申し上げます。ああ、あの日に死んでしまえば良かった。そこのコリントスの者に、王様をゆだねました」
オイディプス王
「なにゆえに、ゆだねたのか?」
羊飼い
「殺すよう命じられていたのですが、両足のくるぶしを刺された赤子の王様がかわいそうで殺せませんでした」
「して、その子供は誰からあずかったのか?」
羊飼い
「前王ライオス殿の妃、イオカステ様です」

ついに、オイディプス王の出自(正体)が明らかになりました。
イオカステは寝所で首をくくり、オイディプス王は妃の着物の留針で、自ら両目を何度も突き刺しました。

オイディプス王とアンティゴネ
チャールズ Jalabert〈その後のオイディプス王と娘アンティゴネー〉マルセイユ美術館

イタリア映画「アポロンの地獄」原作 1967年
その後、オイディプスは娘アンティゴネーとともにテーバイをあとにし、放浪の旅に出ます。
(ソポクレス作「コロノスのオイディプス」)