1話5分で読めるギリシャ神話

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オルフェウスのその後

冥府のオルフェウス
J=B.カミーユ・コロー〈冥府のオルフェウス〉ヒューストン美術館

「さようなら、これが最後のお別れ...」
地上まであと10メートルもないところ。
オルフェウスとエウリディケーは、おたがいに手を伸ばしました。その手はけっして触れあうこともありません。
彼は急いで引き返しましたが、黄泉の国スティクス河の渡し守カローンはその願いをきいてはくれません。

「なぜ、振り返ってしまったのか......」
オルフェウスは、7日間スティクス河のほとりで過ごしました。もう、食事も睡眠もとることはできません。
オルフェウスは、冥界の無慈悲を歌にし、竪琴の音にのせて唄いました。山々や生き物はみな涙を流しました。

ところで、スティクス河の渡し守カローンは最初のときとは違い、どうしてオルフェウスを舟に乗せてはくれなかったのでしょう?じつは、冥界の王ハーデースに、カローンは耳に栓をしているよう命じられていたのです。

そんなオルフェウスに、トラキアの娘たちは優しく声をかけてきました。が、彼はエウリディケー以外の女には見向きもしません。娘たちにつれない態度をとっていました。娘たちも、しばらくは彼の仕打ちに我慢をしていました。

オルフェウスの首を運ぶトラキアの娘
モロー〈オルフェウスの首を運ぶトラキアの娘〉オルセー美術館

ディオニソス(酒)の祭りの日ことです。酔った娘たちは、とうとう興奮して叫びはじめました。
「あそこに、私たちを侮辱した男がいる!」
手にした槍をオルフェウスに投げつけました。が、彼の竪琴の音に、槍は彼の手前で落ちてしまいます。石を投げても同じです。

すると、娘たちはいっせいに大声を出して、竪琴の音を消してしまいました。とうとう、槍はオルフェウスの胸を貫きました。さらに興奮した娘たちは、彼の体を八つ裂きにして、頭と竪琴をヘプロス河に投げ入れました。頭だけになっても、彼は唄っていたということです。

ムーサ(音楽の女神)たちは、オルフェウスの体を集め、レイペートラに葬ってやりました。それで、この地ではナイチンゲールがとても美しく鳴くのです。

また、竪琴はゼウスによって天にあげられ、琴座となりました。

ところで、オルフェウスの魂はどうなったのでしょうか?
死んだ彼は黄泉の国に行き、もう振り返っても消えることのないエウリディケーと幸せに暮らしているということです。

オルフェウス
ルドン〈オルフェウス〉クリーブランド美術館