1話5分で読めるギリシャ神話

ギリシャ神話の神・女神・英雄のエピソードが、絵画で分かりやすい。また、ギリシャ神話はあなたの美術鑑賞に役立ちます。〈アートバイブル〉も、絵画でわかりやすい聖書です。

ガランティス イタチのお話

ヘラクレスのお産
〈ヘラクレスのお産〉中央やや右奥の二人が今回の主役

「お産でアルクメネーを死なせなさい!」

ヘーラーの嫉妬に苦しめられたヘラクレスの母アルクメネー。
そのお産は、大変なものでした。もう陣痛が始まってから、七日と七晩経っていました。
アルクメネーはお産を司る女神エイレイテュイアと3人の助産神を呼んだのです。ところが、この女神エイレイテュイアはゼウスの妃ヘーラーにより、言い含められていたのです。

女神エイレイテュイアは戸口の前の祭壇に腰をおろすと、膝を組み、腕を組み、指を絡ませ、絶対に出産させないように、呪文を唱えていました。このままでは、ヘーラーの思惑どおりアルクメネーは死んでしまいます。

金髪娘ガランティス

この時、ヘーラーの敵意が働いていると気づいたのが、アルクメネーの侍女ガランティス。けっして、良家の出ではなかったのですが、機転のきく賢い金髪娘でした。アルクメネーのそばを離れて、女神エイレイテュイアの前に行くと言いました。

「奥様に祝福を!アルクメネー様は身軽になり、母となりました。立派なゼウス様のお子を産んだのです」

これにびっくりしたのが、エイレイテュイア。その言葉に飛び上がり、組んでいた指を思わず離してしまいました。その瞬間、呪縛がとけて、ヘラクレスは誕生したのです。

ガランティスは、女神エイレイテュイアがいっぱい喰わされたのを見て、思わず吹き出してしまいました。怒ったのは、女神です。

「お前のような小賢しい女は、小賢しい動物になってしまえ!」

女神は、ガランティスの髪の毛をつかんで、振り倒しました。立ち上がれないよう、腕を前足に変えてしまいました。口から出まかせの嘘でアルクメネーを助けたということで、ガランティスは、口から子を産むイタチに変えられてしまったのです。

この後も、イタチはひんぱんにアルクメネーの屋敷に出入りしていたそうです。

ヘラクレスの誕生〉参照

口から子を産むイタチについて
Physiologus(フィシオロゴス:自然を知る者、博物学者)第21話 イタチについて
アリストテレスは、「オオガラスとトキ(イビス)は口で交わり、四足類のイタチは口で子を産む」という自然哲学者たちの意見を、単純で軽率な説として退けている(『動物発生論』第3巻)。そして、イタチが子を口にくわえて運ぶことが、そういう見解をつくりだしたのだと、もっともな意見を述べている。
プルタルコスは、『イシスとオシリス』で「イタチが耳で交尾し口で子を産む」というのはエジプトの伝承だと述べている。

イタチ
イタチ